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3.アンティグアの街 ② [グアテマラ アンティグア]

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中米全図。通常、「中米」といえばメキシコを含まず、グアテマラ、ベリーズ(昔の英領ホンジュラス、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマの7ヵ国を指すが、マヤ文明の勢力圏だったメキシコ南部からパナマ西半分までを言う場合もあるようだ。



 [ グアテマラの基本情報]


ここで”グアテマラ”という国の基本情報をもう少し。

改めて、どこにあるかは上の地図を見て頂きたい、すでに触れたとおり太平洋だけでなく大西洋(カリブ海)側にも出口がある。

国土面積は日本の1/3程度(北海道に四国を加えたぐらい)、人口は中米で最も多い約1,500万。そのうち4割がマヤ族系の先住民族(インディヘナ)、残り6割は先住民とヨーロッパ系の混血(メスティソ)が大半という人種構成で、中南米では先住民の比率がボリビアに次いで高い。

彼らは紀元前から長い歴史を持つマヤ文明の末裔なのだが、長年に亘り山間部で自然と共生する生活スタイルを基本としていて最近まで貨幣経済や都市生活とは一線を画してきた。このため彼らに現代の生活様式、特に教育機会が行きわたりづらく、貧困から抜け出せない一因になっているという話を聞いた。勿論、1960年から96年まで続いた内戦や繰り返す自然災害などの影響もあるだろう。

統計にもよるが当国の一人当たりGDPは約3,500ドル。(因みにインドネシアと同レベル、日本は3.8万ドル強、IMF統計2013年、)
総じて中低所得国の範疇だが、おそらく先住民系の多くは1,000ドルにも達しない生活をしているはずで、逆に言えばアンティグアなどの町に住む都市住民は数字よりは高いレベルにあり貧富の格差が大きな問題になっている。

ところで、この国は隣国ベリーズやユカタン半島につながる北東部を除くと大半が起伏のある山地で、人口の多くは標高の高い山合いに集まっている。

海岸部は緯度からして熱帯性気候で暑いが、中央山地は標高のせいで温暖で住みやすいと言われている。アンティグア(標高1,500m)がその代表例だが、首都のグアテマラシティ(人口250万強、標高1,500m)も、第二の町ケツァルテナンゴ(同 約20万、2,300m)も高地にあるのは気候が良いからだろう。

滞在した2月のアンティグアは乾季(
114月)の後半で毎日好天が続き湿気もなく快適だった。その間一度も雨らしい雨には遭わなかったから、気候だけならこの時期前後に訪れるのがオススメだ。その後5月になると雨期に入り、7月頃に中休みがあるものの、しばらく雨が多い日が続くらしい。

要注意は一日の寒暖差が激しいこと、日差しの強い昼間は半袖で問題ないのだが、いったん日が落ちるとセーターなど厚手の服が恋しくなり明け方などはあまりの冷え込みでよく目が覚めることがあった。体調を落としていたせいもあったかも知れないが。



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通学時に通るサンフランシスコ教会の南西角付近。塀にブーゲンビリア(buganvilla)が見える。この花は熱帯地方で生垣などとして栽培されることが多くこの町では
珍しくない。天候の温暖さを示す例だろう。




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中央公園にはハカランダ(jacarandá)の木もあった。熱帯アメリカ特有の樹木で南米の都市では並木や庭園樹としてよく見られる。これも気候が温暖ということだろう。



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下宿近くの小公園にもハカランダの高木があった。見にくいが紫色の花が付いている。





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下宿の中庭では屋上に上がる階段沿いにブーゲンビリアが咲いていた。






 [ 街のランドマークは中央公園 ]


アンティグアの町は「コロニアル(植民地風)様式の建物、多数のひなびた教会群、そして石で敷き詰められた街路など、こじんまりと美しい佇まいの町である
・・・」と旅行書などで紹介されている。

さらに付け加えると、地震に悩まされてきた歴史のせいか、世界遺産になっている古都の街並みを保全するためか、(恐らくその両方?)市街には背の高い建物はなくせいぜい2
階建てどまりだ。多分、現代風のビルなどは景観にそぐわないとして建築を許可していないのかも知れない。

町の中心は中央公園(Parque Central だ。16世紀、中米の首都としてこの町に総督府が置かれて以来500年近い歴史を持つ公園だ。その旧総督府があった建物(今は使われていないようだ)が南に面しており、北に現役の市庁舎、東にカテドラル、西面だけは商店・銀行などが囲んでいる。

こんな古い公園だが今でも市民の憩いの場所として、家族づれ、カップル、お年寄りに観光客も加わっていつも人出は絶えることがない。
週末に行ってみるといろいろな催しに出会って楽しい。軍楽隊(?)の演奏やら先住民の人達による民族舞踊、マリンバ演奏、パラグアイから来た(?)というアルパ(インディアンハープ)の
グループ演奏などを見かけた。




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中央公園の真ん中には噴水がある。ここの人たちは噴水が好きなようだ。




軍楽隊?(140207).jpg
ある日の午後旧総督府前の回廊で軍隊か警察(?)の楽隊がマーチを練習していた。





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一人ひとりはまだ中学生か高校生ぐらいにしか見えなかったが …




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別の日には同じ旧総督府の前でマヤ系先住民による集団舞踊を見た。




インディオの踊り拡大(140209).jpg
マヤ族のお祭りか何か儀式のためか、カラフルな衣装にお面も付けて踊っている。




インディオの踊り(140209).jpg
踊りを観ていたら見物人の前を冷凍ボックスを引いたアイスクリーム屋のおじさんが横切った。
後姿の黒髪の現地女性も携帯(?)スマホ(?)で写真を撮っていた




マリンバ市役所前(140220).jpg
こちらは市役所前。旧総督府の建物と酷似だが両者は公園を挟んで向かい合っている。ここでもその回廊でマリンバの演奏が行われていた。




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マリンバの音色は南国のけだるいような午後の時間にピッタリ。




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こちらはある日曜日、公園で演奏していたアルパ(インディアンハープ)を中心としたグループ。
演奏前の紹介でパラグアイから来た(?)と言っていたように聞こえたが・・・





この町を歩き回るのは簡単、端から端まで歩いても30分もあれば行き着いてしまうほどの大きさだし、中央公園を起点に下の地図の如く、街路が碁盤目状に拡がっているので方角さえ意識していれば迷うことはない。スペインが植民した中南米の町の旧市街は、こんな創り方が結構多い。

とは言え昼間は問題ないのだが夜になると街路や住宅に特徴がないせいか特に住宅街では判別しづらくなる。
その上街灯も少ないので自分が今どこにいるのか常に意識しておく必要がある。

住み始めた頃、暗くなってから下宿に戻ったとき、ずっと続く壁のどこに入り口のドアがあるのか真っ暗で見分けられず焦ったことがある。ようやく分かったドアの前で今度は鍵穴がよく見えず(眼が悪いせいもあるが)往生した。幸い小さなLEDライトを持っていたことを思い出し何とか事なきを得た。



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アンティグアの市街図(学校からもらったもの)。正確な地図ではないが、街路が碁盤目状になっているのがよく判る。一区画は概ね100mだから市街は東西南北およそ1.5kmの範囲に収まってしまう。
灰色で塗りつぶされた区画が中央公園でこの町のセンターだ。



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12時で授業を終え下宿先に戻ってきた。玄関は右から三つ目の黄色い壁にあるドアで自分の鍵で入る。昼間はどのドアか識別しやすいのだが夜になると壁の色も見えずどれだか見分けづらい。
ちょうど近くの学校も12時で終り子供たちが下校中だったところに出会った。皆、こぎれいな格好をしている、中流家庭以上の子女だろう。

 

 [石畳の街路とカラフルな街並み]


ところで、これだけ徹底して町中の道路が石畳で埋め尽くされている街はそうはないだろう。
写真でご覧のとおり車道は不定形の10cm程度の黒っぽい石で全面敷き詰められているのだが、ヨーロッパの街の石畳のように路面が平らではなく、その凸凹さ加減は半端ではない。

一度穴ぼこを補修しているそばを通りかかったことがあるが、石工が石の形をハンマーで整え下地の土の上に無造作に並べているだけに見えた。
下地の地盤を十分
締め固めずに石を敷いているのなら車の重みで不等沈下してしまうのも無理はない。

一方、歩行者にとっては車がスピードを出せずせいぜい20~30km/hだから究極の安全対策になっていて悪くない。仮に
、車がスピードを出し過ぎればきっとサスペンションを痛めること必定だ。

スピードを追い求める今の時代にこの状況で問題にならないのは町が小さいからだろうが、世界遺産の古い街並みを売りにしているこの町にはむしろこのままが馴染むとも思う。

しかし、歩行者は狭い歩道も油断できない。一応コンクリート舗装しているが、幅が1m足らずで車道との段差が大きいので歩きずらいこと甚だしい。しかも1丁ごとにガタガタの車道を横切らざるを得ないからハイヒールはまずムリというもの。(と思っていたら偶にハイヒール姿を見かけこともあった。女性の執念・気迫は恐るべしだ!!)



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石を敷いただけの車道。左下は歩道だが段差が結構ある。



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偶然見かけた道路の補修工事。左にマンホールの蓋が見えるということは上・下水道管が埋まっている証拠?

これまでの写真でご覧のとおり、この町の住宅は一般的に平屋建てで、道路に面しては小さ目のドアの入り口と鉄格子の付いた出窓があるぐらいでほとんどがパステルカラーの壁面で囲まれている。まあ中に入るとゆったりした中庭(パティオ)と緑があり余裕のある造りになっている。

家の内部を不用意に晒さないという防犯上の意識からこんな構造にしているのだろうが、例外なく壁面は白や青、黄土やオレンジ、茶色(ワインレッド)などでカラフルに塗られているのが面白い。
特に色の選択に規則性があるわけでもなさそうだが、淡いパステルカラーで塗られた壁が続く街並みはなかなかの趣向だ。

”街の色”で想い出すのは、色調が全く違うがスペイン アンダルシアの白い村だ。
地中海に面した山肌に真っ白い家々が立ち並ぶミハスやフリヒリアナの村々は青い空に映えて本当に美しかった。




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鮮やかなワインレッドが印象的な住宅街の壁。




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こちらは黄土色の壁が続く。



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外からは壁面ばかりだが、中には緑もパティオもあるゆったりした平屋の住居があるのが普通だ。



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ミハス(Mijas)の闘牛場あたりから撮った白い村の一角。やはり綺麗。



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ミハスで最も有名な撮影スポット、サン セバスチャンの白い坂。


   (以下、「4.マヤ族の里①(チチカステナンゴ)」に続く)



 


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