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4.グアテマラ、マヤ族の里①(チチカステナンゴ) [グアテマラ アンティグア]


 [ 小旅行を計画 ]

”世界で最も美しい湖” という振れ込みで日本のガイドブックに出てくるアティトラン湖(Lago de Atitlán)は、日本を出る前から少し気になっていた。本当にそんなに美しいのか。
と言っても今の時代だから画像検索をかければすぐに映像が出てくる。成程、それなりには美しい。
火山国日本では北海道、東北でよく見かけるカルデラ湖風の景色で関東で言えば男体山をバックにした中禅寺湖といったところだ。


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霞んでいるがアティトラン湖の遠景。チチカステナンゴの町から湖畔の町、パナハッチェルに向かって外輪山を下っている時に車内から撮影。


中禅寺湖と男体山.jpg
男体山をバックにした中禅寺湖。上のアティトラン湖によく似ている。



幸いこの湖はアンティグアの町からそんなに遠くないし、美しさのほどはやっぱり現地を観てからにしよう。それに湖の畔にはマヤ族の村が点在し彼らの素朴な生活ぶりを垣間見れるというのも興味深い。

アンティグアに着いた次の日、学校の手続き、ホームステイ先の選定などを済ませてから街中の旅行社に寄ってみた。観光の町アンティグアというだけあって旅行社と称する店(個人経営規模が殆ど)はあっちこっちに見かける。

アティトラン湖へ行くツアーを探して入ったのはセントロに近い変哲もない旅行代理店、後でガイド本を見ると市街図にも載っていたからそれなりなのだろう。相手してくれたのは見かけ無骨そうな中年の男だったが話してみると意外に親切。ほっとしてたどたどしいスペイン語ながらアンティグアを起点にしたツアーのことを聞いてみた。

彼によると、アティトラン湖へは日帰りで行けるが、途中でチチカステナンゴ(Chichicastenango、現地ではチチと略して呼ばれる)というマヤ先住民の村に寄ってから湖に向かう1泊2日の旅が普通でお薦めだという。

ガイドブックによると、チチは人口1万人に近く、村というより小さな町だが、毎週木曜と日曜に大規模な露天市が立ち周辺の村々から数万人の先住民が集まり、食料品や日用雑貨などが売買されとても賑わうという。最近はこの露天市を目当てに外国人観光客も結構多いのだそうだ。

早速2日後の木曜日に出かけることにして足と宿を手配してもらった。支払った費用は往復のシャトルバス代とホテル代で60ドルほど。このほか、アンティグア周辺にあるコーヒー農園を見学する半日ツアーも別の日で手配した



  [ チチへ ]

予約した日はそこそこの好天、早朝だったが約束の時間にシャトルバス(12~3人は乗れる大型のバン)が迎えに来てくれた。その足で別の予約客もピックアップし、総勢7~8人になってアンティグアの町を出発した。

チチまでは北西へ直線距離で60kmほどだが、実際は100kmはあるだろうか。道路は片側2車線部分も多く思ったほど悪くはなかったが、平坦な部分は殆どなく山あり谷ありの険しい道が続く。
橋を架ければスーっと渡れる渓谷でもこの国ではそんなインフラ投資をする余裕はないから車は九十九折の急坂を谷底まで下り川を渡ってからまた這い上がってくるという繰り返しで時間がかかるのはしょうがない。


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チチカステナンゴに向かう道路事情はそんなに悪くない。



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片側2車線部分も多い。


それでもバスは何度か峠を越えて最後の坂道を下るとチチの町に入った。時計を見ると10時少し前、所要時間は2時間半弱。チチの標高は2,030mもあり、アンティグアからは500m登ったことになる。
標高のせいもあってか生憎の霧雨模様で肌寒く、アンティグアとは大分違う。

車は中心部から少し離れた駐車場になっている建物に入って止まった。運転手が「今から自由時間です、14時半にパナハッチェルに向けて出発するのでそれまでに戻って来るように」という。
建物の中には同じようなマイクロバスが沢山駐車していたから他にも観光客が訪れているようだ。
まだ10時、まずは人どおりの多そうな方向に向かって歩いてみる。
霧雨が煙るような天気にも係わらず木曜日は露天市の日、雑然とした街中は地元の人たちで賑わっていた。


 [チチの露点市をブラブラ]

マヤ族というのは中央アメリカの先住民のことだが、マヤという一つの民族が存在するわけではなく、文化と言語の一部を共有する異なる多くの部族、集団、社会を総称しているという。
今世紀初頭の数字では中米に居住しているマヤの人は約700万人と推定されている。

ところで、この町、チチカステナンゴ(Chichicaste-nango)は、キチェ(Quiché)県の高原地帯の小さな町。そう言えば、この国の高原地帯には尻がナンゴ(nango)で終わる名前の町が多い。

我々日本人には馴染のないちょっと妙で滑稽な響きに聞こえるが、ケツァルテナンゴ(Quetzaltenango)、ウエウエテナンゴ(Huehuetenango)、アンティグア近くのホコテナンゴ(Jocotenango)など、この地域にはまだまだ面白い名前がある。

"nango" とはどんな意味なのか、調べてみるとマヤの言葉で"~の土地" という意味らしく、チチカステナンゴは、"チチカステ(植物のイラクサ)の土地"ということになるらしい。

ところで、通りで見かける人達はどちらかと言えば小柄。赤、ピンク、紫、藍といったキチェ族特有の色使いの民族衣装を身に着けた人が多い。若者はやっぱり現代風の安易なスタイルが一般的だが、年配の女性になるとウィピル(Huipil)と呼ばれるブラウスとコルテ(Corte)というスカート様の腰布との組み合わせがまだ多い。
原色の洪水のような民族衣装には独特の文様が織り込まれていてそれを見るとどこの村の出身者か彼らの間では識別できるという。


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バスの駐車場を出て露天市があるだろう方向に向かう。民族衣装のキチェ族の女性も見える。



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こちらにも年配小柄なキチェ族女性が。



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露天市が始まる辺り。右側に靴屋が見える。



露天市はサント・トマス教会を中心に拡がっていて教会への参道沿いに続いているようだ。
この教会はカトリックの教会で1540年にスペイン人によって建てられたとされているが、礎石は古代マヤのキチェ族の建物だったもので、今でも先住民独自の神々を信仰する場にもなっているとのことだ。
キリスト教を通じて入った西洋文化とマヤの土着文化とが融合して独特の雰囲気が漂っている。

小雨模様で露天市はどの店もシートで覆われていたが、靴、バッグ、帽子、衣料など生活雑貨の店が圧倒的でお参り用の生花や蝋燭などや魔除けのお面を並べている店もあった。


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地元の人たちの中に観光客もチラホラ混じっているようだ。




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昼食で入った二階のレストランから露天市を見下ろす。



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露天市は雨でシートが懸けられている。




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右側に帽子屋。



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サント・トーマス教会の礼拝堂前の階段は一休みする参拝者と物売りとでごった返していた。



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階段ではお参りに使うのか生花も売っている。


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雨に燻ぶる露天市。遠方にサント・トーマス教会が見える。



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日本のお寺などで見かける護摩焚きの煙ではないが、ここでも独特の香りがする何か(の花?)を焚いていて辺りはすごく煙い。


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教会そばに魔除けなのだろうか、骸骨や悪魔(?)のお面を並べた店があった。



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キチェ族の絵画や壁掛けを売っている店。左下に佇む二人のマヤ女性の格好が定型的な民族衣装だろう。


悪天のせいでチチの良いところをすべては観ていないのかも知れないが、マヤの人たちの世界をちょっぴり覗いてみることはできた。
とにかく街中に溢れる藍、紫、ピンク、赤の色彩に圧倒されたというのが真っ先に出てくるこの町の印象だ。
観光客用らしきレストランで昼食を済ませ、ちょっぴり考古学博物館を覗いてから少し早かったが朝の駐車場に戻った。

バスは予定どおり、アティトラン湖沿いの町、パナハッチェルに向かって出発した。


 (以下「5.マヤ族の里②(アティトラン湖)」に続く)


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