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11.ビルバオ ② (バスク博物館) [15/9北スペイン]


  [朝の散歩]

一夜明けてビルバオ2日目、快晴だ。日の出が7時半頃でとにかく遅い。
散歩を兼ね、朝食を食べに昨夜行ったアバンド界隈に行ってみる。

観光案内所「TURISMO」の辺りにはメトロ、トラム、少し入るとサンタンデールとつながる私鉄、そして国鉄などの各アバンド駅が集中しているし、スペインの大手銀行BBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)の本店をはじめオフィスビルも多く、ビルバオのビジネスセンターといったところだが、朝8時半の仕事開始の時間帯にしては思ったほどの人通りはない。
日本の朝のラッシュアワーのような人の流れを想像していたが、そんな風景はまったく見られなかった。

この散歩で改めて確認できたのは、泊まった宿は旧市街に入った所にあり、カスコ ビエホ(Casco Viejo:旧市街の意)という地下鉄駅に近くどこに行くにも至便だということだった。



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宿を出るとネルビオン川を渡る橋のたもとまで1分。もう8時半が近いのに川沿いの東向きの建物にはまだ朝日が当たっている。その分日没は遅いのだが…




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ネルビオン川の橋上から上流側を望む。左岸の道路下は私鉄の駅になっている。川自体はそんな大きくはないが、この橋には"Areatzako"橋というバスク語起源らしい名前がついている。どう発音するのだろうか?




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橋を渡ってアバンド地区に入ったところに街灯のような温度計が立っていた。エル・コルテ・イングレス(デパート)の宣伝の下に16℃の表示。9月上旬朝8時半の気温だが、体感的には寒さは感じない。この後は23~4℃の快適な気温まで上がっていく。





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朝食で食べた大きなクロワッサン。



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アバンド通りに近い鉄道駅そばにあるスペイン第二の大手銀 BBVA の本社ビル。




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散歩からの帰り、橋上から見る上流右岸の旧市街方向を見る。手前の建物の奥にビルバオ大聖堂(Catedral de Santiago)のゴシック式尖塔が顔を出しているが残念ながら訪れていない。




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橋の上で振り返ると今行ってきたアバンド界隈が朝日に照らされている。




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この橋の先は旧市街地区(Casco Viejo)になる。こうやって見るとなかなか重厚な街並みだ。突き当りの建物の4階に泊まっていた。



 [バスク博物館]

午前中に翌日予定しているワイナリーの町に行くバスの出発時刻を調べにバスターミナルへ出かけた。往きはトラム、帰りは地下鉄でカスコ ビエホ駅に戻ってきたが、街が小さいので大して時間はかからない。

昼飯まで中途半端な時間が残ってしまったので「バスク博物館」(Museo Vasco 因みに高齢者は無料)に寄ってみた。

ここで「バスク」について基本を押さえておこう。
「バスク地方」とは、大雑把に言ってピレネー山脈を挟んで大西洋(ビスケー湾)に面したスペイン北東部とフランス南西端の地域をいい、スペイン側ではサン・セバスチャンやビルバオの町がその中心だ。

この地域に居住してバスク語を話す人達を「バスク人」と呼ぶ。系統不明の民族と言われ、古代ローマ時代のそのはるか前から先住していた彼らは、中世には漁師として大西洋に繰り出しタラ漁や捕鯨を行っており、大航海時代になると航海者や植民者として南北アメリカに渡った者も多い。

彼らの固有の言語は「バスク語」で、現在その話者(普通は西語または仏語も話すバイリンガル)は約60万人程度と言われる。バスク語はその祖先を遡っても親戚語が存在しない孤立した言語と言われている。

そんなことから世界でもっとも難しい言葉と言われることが多く、中世フランスでバスク語を勉強させる刑罰があったというくらいだ(!?)。もっともその次に難しいのは日本語だそうだが…

さて、博物館は駅と宿の中間にありカスコ ビエホ(旧市街)の真っ只中にある。表から見ると何の変哲もない古めかしい石造りの建物に見えるが、昔のカトリックの神学校を改装したものとのこと。

入口を入って受付けを抜けると芝生のパティオ(中庭)に出る。その周りは回廊がぐるりと取り巻いており、それに沿った3~4階までの部屋の大半が展示室として使われている。訪れた時は殆ど訪問者も居らず、気忙しさを感じずに静かな雰囲気で観覧できるのは心地よい。

あまり期待していなかったのだが、見出すほどにバスク文化の歴史・風俗に関する展示内容に引き込まれ、なまじの美術館などよりはるかに興味深く楽しめた。この博物館は「バスク」に少しでも興味があるなら必見の価値があると思う。

この後、ランチを済ませてから中心街からネルビオン川を10kmぐらい下った辺りにある世界遺産、「ビスカヤ橋」に行く予定だ。


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「バスク博物館」の入口。MUSEO VASCOの表示はスペイン語、右側のEUSKAL MUSEOAはバスク語。即ち、VASCOはバスク語ではEUSKAL になるということ。





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中に入ると手入れされた芝生のパティオがあり周囲を回廊が取り囲んでいる。古いカトリックの神学校を改装したとのことだがアーチの形状で統一された回廊沿いや窓枠は風格がある。



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1階回廊の壁面に古い樫の木の門扉があった。





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門扉の横にあった説明版だが、上半分はバスコ語で、下半はスペイン語で書いてある。詳細は分からないが外部の居住部につながる門扉(くぐり戸)らしく、蝶番などの鍛造品に見るべきものがあるという。





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パティオから見ると一部4階建てで歴史を感じさせる建物だ。




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やはり1階回廊の壁面、石板のようなものが展示されている。




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衣装展示の一例。そんなに古くは見えずせいぜい20世紀初頭あたりのものか。




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裁ちばさみ(?)の展示。昔から鉄製の鍛造技術が発達していたことが窺える。




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昔の鍛冶職人の作業風景。




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歴史的に外洋漁業(タラ漁、捕鯨など)、遠洋航海を通じ、造船技術が発達していたようだ。





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19世紀頃、当地の中産階級以上の家庭では陶磁器の平皿が普及していた。




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そばの説明書きによると、ビルバオの10km東方、ブストゥリア(Busturia)地方には白色のカオリン粘土が産出し19世紀中ごろから上質の陶磁器(ボーンチャイナ)が生産されていたようだ。



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こんなもの(ピストルや剣、農耕工具など)も作る技術があったらしい。説明によるとビルバオから南東に20kmほど離れたレバリオ(Lebario)にあった鍛冶工場で製作されていたとのこと。




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ビルバオ周辺のジオラマ。ネルビオン川が注ぐ河口は大西洋(ビスケー湾)に面した港湾。そこから川沿いに町がつながってビルバオの街は河口から10km上流にある。



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