12.ビルバオ③ (ビスカヤ橋) [15/9北スペイン]
上は好天時の世界遺産「ビスカヤ橋」全景(Google mapから)、下は今回訪れた時に撮ったもの。時刻は夕方、しかも生憎の曇天だった。
[定食屋]
バスク博物館から宿までは5分。一度戻って小休止後、昼食の時間帯に合わせて宿を出た。途中でお昼を済ませてから世界遺産の「ビスカヤ橋」(Puente de Viscaya)を訪ねる予定だ。
「ビスカヤ橋」はビルバオの都心からネルビオン川を10kmほど下った河口の近くにある。でも宿の最寄り駅「カスコ ビエホ」からは地下鉄一本で行けるのでそんなに距離を感じさせない。
地下鉄駅の辺りは小さな広場になっていて、いつも下町を思わせる賑やかでのどかな雰囲気なのだが、そこを取り囲むようにレストランバルの店が何軒か面している。その一軒の前に貼り出されていたメニューを覗いていたらカルボナーラの活字が目に入ったのでそこに入ることにした。
実はこれが大当たり!! レストランというよりバルが一緒になった「定食屋」といった風で地元の人達しか入らないような店と見受けたが、味も値段も言うことなしでこの後何回かリピートすることになった。以下、店先に貼ってあったメニュー(下の写真参照)を紹介すると…
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今週のメニュー
第一の皿:(前菜、以下から一品をチョイス)
○ イベリコ豚のハム付きメロン
○ ズッキーニのクリーム煮、ヒツジ乳のチーズ添え
○ 目玉焼き付きキューバ風ライス
○ ベーコンと野菜のソテー
○ カルボナーラパスタ
○ 自家製フルサラダ
第二の皿:(主菜、以下から一品をチョイス)
○ 鶏もも肉のロースト、フライドポテト添え
○ 鉄板焼き風シュラスコ、付け合わせ付き
○ 子牛肉のビフテキ、ジャガイモとピーマン添え
○ バスク産ソーセージとジャガイモ付き目玉焼き
○ 温野菜添えサーモン
○ 日替わり魚料理、レタス付き
自家製デザート+飲み物(ワイン、水またはジョッキのビール)付き
10.95ユーロ(消費税込み)
ハーフメニュー1(第一の皿のみから1品のチョイス)…… 6.95ユーロ
ハーフメニュー2(第二の皿のみから1品のチョイス)…… 7.95ユーロ
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日本語に直すとザッとこんなところだが、下町の食堂みたいな店で地元の人たちがどんなものを食べているのか想像できるのは楽しい。それにしてもこのランチセット(勿論、パンは付いている)をこの値段で食べられるのは少し羨ましい。
地下鉄「カスコ ビエホ」駅前の広場。広場に面してカフェ、レストランがテーブルを出している。入ったレストランは画面右端あたりの店。
入ったレストランだが名前もはっきりしない。入口右側はスタンドになっていて、テーブル席は奥に入った2階。入口左脇にメニューが出ている。
店先のメニュー、(画面上でクリックすると拡大、本文に拙訳あり)。
「バスク産ソーセージとジャガイモ付き目玉焼き」の皿。
「ベーコンと野菜のソテー」(?)と思うが…
イタリア語でいうリガトーニだろうか? ショートマカロニパスタのカルボナーラ。味は良かった。
デザートのプリンとアイスクリームの盛り合わせ。
別の日に寄った時のピンチョスとワインの組み合わせ。
駅近くにあった青果店。果物の種類は豊富だ。
プラム(もいろいろある)が0.99€/kg とは安い!
[ビスカヤ橋へのルート]
現在のビルバオの町は14世紀初頭にネルビオン川沿いに商業地として建設されたのが始まり、その後スペイン北部で重要な港をもつ都市として発展してきた。河口までの15km間は航行可能なことが特徴で、都市域は下流のビスケー湾に向かって拡大を続けた。
結果、左岸(バラカルド、セスタオ、ポルトゥガレテなどの地区)は工場群(鉄鋼・金属加工・造船)やその労働者の居住地区となり、右岸(エランディオ、レイオア、ゲチョなどの地区)は工場経営者の居住区となった。
こんな背景から、地下鉄路線はビルバオ市街とネルビオン川沿いの町々をつなぎ河口部まで延びているのだが、ビルバオを出て地上に出ると左岸を走るL2号線と右岸のL1号線とに枝分かれする。地上を走る両線とも昔は通勤鉄道だったという。
目的の「ビスカヤ橋」はポルトゥガレテ地区とゲチョ地区を結んで架かっている。
カスコ ビエホ駅を出た電車は15駅目のポルトゥガレテ(Portugalete)駅で下車、30分弱だ。天気のせいもあるのだが、少し寂れたようなポルトゥガレテの旧市街を眺めつつ緩く下っていくとネルビオン川にぶつかる。件のビスカヤ橋はすぐそばに聳えていた。
ポルトゥガレテ駅を出てネルビオン川に架かるビスカヤ橋方面に向かう。繁栄の時代は過去の栄光となったのか、やや寂れた感のあるポルトゥガレテの街中。
川沿いの道路に出ると「ビスカヤ橋」が見えてきた。
「ビスカヤ橋」を背中にして下流(河口方向)を望む。対岸はゲチョ地区でやはり都市化した市街地が拡がっている。釣り人一人、何が釣れるのだろうか?
120年以上前の鉄構造部の偉容はさぞかし迫力があっただろう。ポルトゥガレテ側からゲチョ側を望む。
橋脚に近づいていくとそれなりの迫力がある。
左側からくるゴンドラが到着するデッキ。
ポルトゥガレテ側の鉄塔脚部。
工場経営者層の住居地区という対岸(右岸)のゲチョ地区。
[ビスカヤ橋]
「ビスカヤ橋」(Puente de Viscaya)は、ビルバオを流れるネルビオン川の河口付近にある世界最古の運搬橋として今も現役だ。エッフェル塔を建設したエッフェルの弟子でビルバオ出身のアルベルト・デ・パラシオが設計し、1893年に完成している。
上流にあるビルバオに向かう海上交通の妨げにならず、また長い取り付け道路も必要ない方式を模索した結果、吊り下げられたゴンドラで人や車を運ぶ運搬橋がその解決策となったわけだ。現在この方式の橋は仏、英、独、そしてアルゼンチンにもあるそうで世界で5橋だけが現役稼働中とのこと。
運搬橋の長さは164m、橋桁の高さは水面から45m。ゴンドラは当時画期的と言われた軽量鉄ケーブルで吊るされ、6台の自動車と300人ほどの人間を乗せて2分弱で渡ることができる。
19世紀末に完成・開通した当時はゴンドラ方式の斬新なアイディアと圧倒的な鉄構造物の偉容に地元民はさぞかし仰天し誇りにも感じたことだろう。
現在、生活者の足として利用されているので料金は片道40円ほど。望めばエレベーターで昇って橋桁からの眺望を楽しむことも出来るが、こちらは観光客価格で5€だったか?
対岸からゴンドラがやってきた。
さらに近づいてきたゴンドラ。中央部に車両を載せ、両サイドの車両状の箱に人間が乗っている。ゴンドラを吊っているワイアーがうっすらと見える。
ゴンドラ内部に貼ってあったポスター。「ビスカヤ橋:遺産と前進」、「120周年記念、1893-2013」とある。開通120年を記念して作られたものか?
ゴンドラ上の乗客はこんな車両(?)に乗っている。反対側の車両から。
犬を連れて待つ乗客。
ポルトゥガレテ側のエレベーターで橋桁に昇ってみた。到着すると幅2mほどの廊下状の通路になっていて、反対側まで歩いて行ける。(この日は反対側のゲチョ側エレベーターが止まっていた。)通路両側の手すりは粗目な金網で保護されている。
50mの高さからネルビオン川の上流側を望む。ここから約10km先にビルバオの街がある。夕刻かつ低い雲が垂れ込め視界は効かないが、左岸遠方は工場地帯のようだ。
こちらは下流側(河口方面)。左岸遠方は港湾になっていて港湾施設のクレーンが霞んで見える。右下はゲチョの市街になる。
ポルトゥガレテの街並み(左岸上流部)を50mの高さから。
金網にポルトゥガレテの案内板があった。
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