3.バルセロナ ➂(凱旋門ほか) [15/9北スペイン]
バルセロナの凱旋門。十分立派だが生い立ちを知ってしまうとちょっと軽い感じも?
[凱旋門→シウタデーリャ公園]
泊まっていたマンションの隣に小さいバルがあり、大体朝はそこで朝食をとった。
ボカディージョ(フランスパンを横に開き生ハムやチーズ、スクランブルエッグ、野菜などを挟んだもの)とカフェ コン レーチェ(カフェオレ)の簡単なものだ。
今日はバルセロナ2日目、午前中はまず宿から歩いて近くの凱旋門(Arc de Triomf)へ、さらにシウタデーリャ公園(Parc de la Ciutadella)を通って旧市街にあるピカソ美術館やカテドラル(大聖堂)に行くことにしている。
朝食後一度宿に戻り改めて街に出る。5分ほどでバルセロナの凱旋門の前に出た。立派に見える凱旋門なのにこの町には見ものが多いせいか、街を代表する観光スポットの扱いを受けてはいない。
それに内外の有名どころの凱旋門は実際の戦争の勝利記念として建造された曰くがあるのが普通だが、この凱旋門は1888年の万国博覧会の入場門として造られたもので、歴史の重み(?)に欠けるという生まれの違いも影響しているかも知れない。でもその威風堂々さはやはり我々日本人にはヨーロッパの建造物としての魅力を感じさせる。
宿の隣のバル。カウンターと幾つかのテーブル席があり、朝の時間帯はいつも店主(?)が一人で応対していた。
ハーフの生ハムのボカディージョとカフェ コン レーチェ(カフェ オレ)。フランスパン1本ではさすがに食べ切れずメディオ(=ハーフ)で頼んでいた。
宿から5分も歩けば凱旋門の意味の「アルケ ダ トリオンフ(Arc de Triomf)」の地下鉄の駅がある。道路を挟んで向こう側に凱旋門が見える。
堂々たる構えの凱旋門。高さは30m、それなりの迫力がある。
イスラム教、キリスト教両方の特徴を取り入れた当時流行のムデハル様式が用いられている。この門は石造りではなく安価な煉瓦で造られているというのだが・・・ 万博の開催費用低減のため?
門をくぐるとシウタデーリャ公園につながっている。
アーチの上部には何やら装飾が施されたレリーフがある。笛を吹く天使とか女神像のほかに万博に関連して農業、商工業、科学芸術などをイメージした彫刻だそうだ。
[シウタデーリャ公園→旧市街]
朝の公園は散歩する人、その散策路を突っ切って仕事場に向かう人を見かける程度で観光客も少なく、むしろ緑濃い閑静な雰囲気だ。
この公園は1888年の万国博覧会が開かれた時にメイン会場として整備されたらしいがその前身には意外な歴史があった。
18世紀初頭、全欧州を巻き込んで内戦状態をもたらしたスペイン王位継承戦争(1701-14)でのことだ。
この地方では元々独立心の強いバルセロナを中心とするカタルーニャとそれを押さえ込もうとするマドリードの中央政府との間で熾烈な敵対関係が続いていた。
何度かの戦いを経て1714年、ついに中央政府がカタルーニャをねじ伏せたのだが、その後バルセロナ市民を監視する要塞をこの地に築いた。すなわちバロセロナ市民にとってここはマドリード政府の圧政のシンボルが存在したところということだ。その後前述のとおり万博の開催場所になって今につながる緑豊かな公園に変貌したのだが、市民にとっては好んで行きたい場所ではないのかもしれない。
こんな背景があるからこそ、サッカーの世界で有名なスペインダービー:「レアルマドリー」VS「FCバルセロナ」の試合がいつも熱く盛り上がり、カタルーニャの独立が現実の政治問題になっているのだろう。
公園の南、海に近い部分には動物園もあるが今回は寄っていない。
午前中に旧市街の核、ゴシック地区にあるピカソ美術館、カテドラルを周るべく公園の西出口を出る。この辺りから旧市街に入っていくので急に道が狭まくなり石造りの重々しい街並みが続く。突然中世の世界に迷い込んだようだ。
ピカソ美術館には数年前に寄っているが殆ど記憶になく、今回改めて抽象画以前の若い時代の具象画を中心にかなり見たがやっぱり素晴らしい。館内は撮影禁止、後になって記憶を呼び起こすきっかけを残せないのはちょっぴり残念だ。
美術館を出て石畳の道をさらに200mも歩けばカテドラルに着く。
朝のシウタデーリャ公園。地元の人がのんびり犬を散歩させている。
1888年の万博時に造られた噴水やパビリオンの建物。当時学生だったガウディもこの公園の造園に参加したという。建物のてっぺんに金ぴかの塑像が見えるが・・・、何だろう?
金ぴかの像は、馬車を曳くギリシャ神話の女神オーロラだそうだ。
犬たちにとっては居心地の良い別天地だろう。
公園の西側出口に野外音楽祭の看板が立っていた。毎年夏の夜に市内の公園でクラシック・ジャズの無料音楽コンサートが開かれているらしい。バルセロナがあるカタルーニャ地方ではカタルーニャ語が公用語なので看板もカタルーニャ語で書かれていて一層分かりずらい。
ピカソ美術館の入り口の案内板。カタルーニャ語、スペイン語、英語の三段書きになっている。
アーチ状の入口をくぐり小さな中庭の向こう側の1階と2階が展示部屋になっている。
入口を入った突き当りには荷物一時預かり所(コインロッカー)や売店がある。撮影はここまで。
ピカソ美術館を出てカテドラル方面に向かう石畳の街路は中世時代を偲ばせる雰囲気。
薄暗い迷路のような道を辿りカテドラルの裏側あたりに出て来たようだ。
[カテドラル→グラシア通り]
バロセロナの教会建築というとサグラダ ファミリア教会があまりに有名だが、古い歴史を持つ町だけに当然たくさんの教会がある。その中でカテドラル(大聖堂)と呼ばれるのはバルセロナの守護聖女サンタ・エウラリアを祀っているこの教会だけだ。
旧市街の中でも最も古いゴシック地区のシンボルがカテドラル、5世紀にはすでに原始キリスト教の教会があったというが、現在の建築は13世紀後半バロセロナ伯ジャウマ2世時代に建設が開始され150年かけて15世紀に完成している。
出入り口が5か所もあることを後で知りピカソ美術館から歩いて来て入ったのは曖昧な記憶ながら左側側面のサン・イウ門からだったようだ。内部の見学は原則無料、チェックらしいものもなく内部の写真撮影は自由など観光客にはフレンドリーなのだが・・・。
礼拝堂内に入るとゴシック様式の高い天井と美しいステンドグラスから差し込む光が醸し出す荘厳な雰囲気は訪れるものを圧倒するが、その通路に観光客の列が途切れることなく続くのはいささか興ざめ、静寂と厳粛さが保たれていてこそ礼拝堂だと思うのだが。
カテドラルを出て市庁舎や自治政府庁があるサン・ジャウマ広場をとおり緩い下り道を地下鉄4号線の「ジャウマ・プリメ」駅に向かう。「グラシア通り」は2駅目だ。
カテドラルの側面。石造りむき出しの荒々しさに返って魅力を感じる。
カテドラルのファサード(正面)はネオゴシック様式。やはり1888年の万博に合わせて改装されている。(公開資料から)
カテドラルの内部。かなり暗いが撮影OK。
カテドラルの天井部分。ステンドグラスが美しい。
カテドラルの中庭から見えるファサードの尖塔。
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