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アンダルシア④(アフリカへの道)

 [まずタリファへ]

4月のスペインはまだ夜明けが遅い。もう夏時間に入っているせいもあるが8時近くにならないと本当に明るくならない。
目覚ましの助けを借りてゴソゴソ起き出したのは5時半前。外はまだ真っ暗だ。
6時5分に迎えに来るというツアーバスに備えて眠い目をこすりながらホテルのロビーに下りて待機。レセプションには人影があったが客は一人もいない。

結局、バスがホテルのエントランスに入ってきたのは6時半、中年の女性ガイドが降りてきてクーポンを確認しバスに案内してくれる。
こうやって一軒々々ホテルを回り予約客をピックアップするのだが、回るホテル数が多いと結構時間がかかる。幸い、今回はそれほどのことはなくあっさりと目的地のタリファ(Tarifa)に向け高速道AP-7号線に入った。

乗客は総勢30人弱ぐらいか。夜の闇から少しずつ明るくなる車窓を眺めながらウトウトする。朝やけの空を見上げると雲はあるものの天気はそんなに悪くなさそうだ。

タリファには8時すぎに到着。イベリア半島の最南端、即ちヨーロッパ大陸の最南端の町だ。人口1万数千人、8世紀にイスラム勢力が真っ先に攻め込んできたのがこの町だという。何せアフリカとを隔てているジブラルタル海峡はこの辺りが最狭部でわずか14kmしかないのだ。

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フエンヒローラからタリファまでは直線なら80kmほどしかない。道路は快適でタリファに近いアルヘシーラスまでは高速道AP-7号線を走る。


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タリファまで乗ったバス。タリファ到着は8時すぎ。



 [フェリーでアフリカへ]


どうやら乗船するフェリーは9時出航のようだ。所要時間は1時間。
FRSという会社がフェリーを運行していて9時が始発、その後は21時までほぼ2~4時間ごとに計5~6本を往復させている。なお、タンジールへはタリファの手前の町、アルヘシーラス(Algeciras)からもフェリーが出ているがタリファからの方が近い。

スペインとモロッコの間には1時間の時差があるため、タリファ発9時のフェリーはタンジール到着が現地時間で同じ9時ということになる。

実際は20分ほど遅れて出航、風が結構ありベタ凪とはいかないが我慢できない
ほどの揺れではない。
30分もすると左舷にボヤっと見えていた茶色いアフリカの陸地がだんだんはっきりしてきた。

タンジ-ルの東海岸に連なる白い建物が見え出してくるといよいよ目指した港は近い。この町は観光都市でもあり、ビーチ沿いに見えている白いビル群はホテルかコンドミニアムなのだろうか。

フェリーは予定どおり1時間で到着した。雑踏の列に並んで入国審査を受ける。同じツアーの仲間から逸れないようにターミナルを出るとそこは車の行列と人波がごった返している。その中にこれから回る市内ツアーのバスと現地ガイドも待っていた。

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行先は国外になるので当然出国審査はあるがあまり厳しくない。ここはポリスコントロール。



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待合室で乗船の案内を待つ。


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いよいよ乗船が始まった。フェリー後方の車の乗船口から乗り込む。



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20分遅れの出帆になった。後方はだんだん遠くなるタリファの町。ヨーロッパ大陸最南端も緯度的には東京よりちょい北。風が強いためウィンドサーフィン・カイトサーフィンのメッカとして有名らしい。郊外の丘には風力発電の風車が林立している。



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出航して40分も経った頃デッキに出るとアフリカ北端の町、タンジールの街が見えてきた。海岸東側(左側)に沿って白い建物が続いている。



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タンジール港に到着。遠景の街並みはタンジール新市街。



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こちらは丘の斜面に拡がる旧市街(メディナ)。



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下船して入国審査後ターミナルを出ると雑然と沢山のバスが待っている。その中の1台に乗車して市内ツアーが始まる。


 [タンジールの市内ツアー]

現地のガイドは中年の男で、くるぶしまである黒くて長いガウンのような民族衣装(ジェラバ?)を着ている。
訛りの強い早口の英語と西語、それにもう一カ国語を喋っていたようだが、とても聞き取れるレベルではなくすぐに諦めた。まあ前回の経験から流れは分かっているので心配はしないが・・・。

バスツアーのルートは概ねこうだ。
まずは港から続く緩い丘を登りながら新市街の中心部をざっと見せた後、内陸に向かい緑の多い高級住宅街を抜けて高台に登る。そこの広場では2~3頭のラクダが待っていて希望する客には地元のオジさんがチップを取って乗せる商売をしている。

この後また市街に戻り本ツアーのメインイベント、旧市街(メディナ)の散策が始まる。
せいぜい500m四方ぐらいと思うが中は迷路のような細い路地でできている。当然
バスは入れず徒歩での散策だ。

ガイドの後を追って迷わないように蛇使いのいる城砦(カスバ)のそばを通り、賑やかなバザール界隈を歩いた後観光客御用達(?)のレストランで昼食となる。
その後、絨毯屋などを冷やかしてさらに散策。最後は港に近いあたりでメディナを出てバス
に戻りフェリーターミナルへという順路だ。約4時間のコースになっている。

タンジール(Tangier:英語)、タンジェ(Tanger、:仏語)、タンヘル(Tanger:西語)はアフリカの北端、かつモロッコ王国の北の玄関口である。
その位置が古くから交易上の要衝であったためフェニキア時代から数多の勢力が入り乱れて占有してきた。中世以降だけでもポルトガル、スペイン、イギリス、フランス、ドイツなどの列強が実効支配する時代が続いた。

1956年にモロッコ王国として独立するまで、ヨーロッパ列強は共同でこの町を統治していたこともあり事実上ある種無法地帯になっていた時代が続いた。
この町が国際都市と呼ばれエキゾチックで猥雑な雰囲気を醸し出しているのはそんな歴史のせいなのだろうか。人口は約70万。

アラブ世界の独特の魅力を感じるのは何と言ってもメディナの内部を歩くときだろう。
迷路に紛れ込んで果たして脱出できるのかと一瞬不安な気持にさせる細い小路を歩いていると、仏の画家ドラクロワの絵画が思い浮かぶ。(下を参照)

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 仏の画家ドラクロワ(1798-1863)が1837年に描いた「タンジールの狂信徒たち」という作品。アラブの雰囲気がよく出ている。


タンジール市内バスツアーのスナップは以下の写真で。

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緩い丘を登る中心街の街路。民族衣装で歩く姿に気が付かないと普通の街に見える。信号機の後ろに韓国LG電子の広告が。(バスの車窓から)



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街中のガソリンスタンド。(バスの車窓から)



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道路標識のアラビア文字を見ると改めてアラブの世界にいることを意識させられる。因みにタンジールにはRoyal Golfというゴルフ場があるらしい
。(バスの車窓から)




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郊外の高台にある公園風広場で観光客にラクダを見せている。赤い帽子のおっさんは4年前にもいた見覚えのある顔。



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ラクダの背に一度は乗ってみたいという願望は強いのだろうか?



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この門をくぐるとメディナ(旧市街、その一画に城砦(カスバ)がある)に入る。



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メディナ内にあったカスバ博物館の入口。向かって左側の壁にMuseo de la Kasbahとある。ツアーの団体行動中のため入場できず。


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カスバ(城砦)の近くでは観光客目当てに蛇使いが真っ黒いコブラを操っていた。




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雑然とした狭い路地を行く。




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少し広い路は野菜類中心のバザール(街頭市場)になっていた。



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同上。



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ツアー客が連れて来られるレストラン。前回もここだった。



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中に入ると中央部のボックスに民族衣装の楽士がいて民族音楽のBGMを奏でている。



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最初に出たのは野菜スープ(?)、次につくね状肉の串焼き、最後はクスクス料理。特に美味ではないが地元の味ではある。このランチ、ツアー料金に込みなのであまり文句は言えない。



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食後、再び散策。画面の雑踏では観光客の方が多いかも。



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狭いこの路地はカバン屋横丁といった感じ。前を歩いているのは同じツアーの仲間。



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ツアールートに組み込まれている絨毯屋で。店の販売員の熱心な商品説明が続くが、短時間の中で高価な絨毯を購入する客はまずいない。



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歩き疲れた身体には格好の休息タイム。



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カフェのある小さい広場で自由時間があった後メディナを出る。



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タンジール港で待つ14時発の帰路のフェリー。


港に近いメディナの門を出たのは13時半すぎ。これで市内ツアーは終了だ。待っていたバスですぐそばのフェリーターミナルへ。

帰りのフェリーは14時発、
タリファには現地時間16時すぎに無事戻ることができた。
簡単な再入国審査があって外へ出ると朝乗ってきたバスが待っている。
全員そろっているのを確認した後バスはすぐに出発、コスタ・デル・ソルの海岸沿いをフエンヒローラに向かった。


 (以下「アンダルシア⑤」に続く)


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