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アンダルシア③(コスタ・デル・ソルの一日)

 [今日の予定]

一人ではもったいないような広いベッドルームだったせいか久しぶりによく寝れた。
風は少しあるが今日も快晴だ。ベランダに出て眺めるフエンヒローラ(Fuengirola)の街は特別の趣きがあるわけではないが小ざっぱりしてスッキリしているところがいい。建物の間から見える地中海も相変わらずの紺碧色が美しい。

この町は、1950年代までは海辺の一寒村(当時の人口は6千人台)に過ぎなかったが、60年代以降コスタ・デル・ソルの発展に伴いリゾートの町として急激に人口を増やし現在は7万人を超えているという。

今日から2週間この街で過ごすつもり。
前半はフエンヒローラを拠点に周辺をのんびり巡ることとし、うまく予約が取れれば日帰りツアーで北アフリカのタンジール(Tanger、モロッコ)の町にも行く予定だ。

後半の一週間は、これも受け入れてもらえればだが、街中のスペイン語の語学学校に通ってみようかと思っている。

ということで、今日のこなすべき予定は以下。
① 底がついてきたユーロキャッシュの入手。 
② 語学学校の受入れ相談、出来れば申込も。
③ タンジール行きバスツアーの申込。
④ 日本語が読めるネットカフェを見つけること。
⑤ 時間が取れれば”白い村”ミハス(Mijas)を散策。

さてどうなる?


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フエンヒローラの中心部、浜辺の一画は漁港・ヨットハーバーになっているが、その東西に延びる海岸線は7kmに及ぶ。後背地の斜面中腹にはミハスの白い村がある。

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泊まったホテルそばの古城から見る市街、正面中腹がミハス。



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町の西端にあるホテルの部屋から望む市街。



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ホテルから海岸通りに出て右側に地中海を見ながら街の中心部に向かう


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海岸の砂浜に降りるところにこんな看板が。砂浜の利用案内のほかに注意事項もいろいろ。



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海岸沿いにはゆったりとした遊歩道が延々と続いている。ここを歩いて中心部に向かう。



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市の中心部、憲法広場(Plaza de Constitucion)。やはり中央には教会がある。


 [銀行巡り]

まずは①の"お足"の件。

今回は3年前に来た時に使い残した幾らかのキャッシュとAMEXのT/C(トラベラーズチェック)を持ってきたが、リスボンでユーロキャッシュはあらかた無くなってしまった。これからはT/Cをキャッシュに換金して使うことになる。

過去の旅ではT/Cは安全で手数料もかからず銀行で簡単に換えてくれるので重宝していた。
今回も真っ先に何度か使ったことがあるスペイン最大手のサンタンデール銀行(Banco Santander・・・)の支店に向かった。目的地は市中心部の憲法広場(Plaza de Constitucion)のそば、ホテルから海岸沿いの散策路経由で銀行に着いた。

先客はいたがすぐに順番がきてT/Cとパスポートを出すと思いがけない返事が返ってきた。今は受けられないと言うのだ。以前は換えてくれたのにと言っても相手にしてくれず他の銀行に行けというばかり。

理由もよくわからないまま街角で人に聞きながら今度はスペイン第ニの銀行、BBVA(Banco Bilbao・・・)の支店に行ってみた・・・が、ここでも同じ。
その後、Banco Popular、Uni Banco、Bancointelなどにも寄ったが相手にされない。
スペインの銀行の名前を覚える勉強(?)にはなったがこれでは全く埒が明かない。

どうもリーマンショック後、AMEXとスペインの銀行の業務契約に何らかの変更があったと思うしかない。ここまできたらしょうがない、使いたくなかったが街中の「Exchange」の看板を出している両替屋に行くしかないと覚悟した。

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憲法広場の一角にサンタンデール銀行の支店がある。



 [早速テスト?・・・]

時間を見ると予想外に押してしまいすでに11時半になっている。昼休み前に語学学校の件は終えておきたいところ。

ここはリゾート地、当然ながらスペイン語圏外から外国人が大勢やってくる。その中にはバカンスを楽しみながら短期間でも西語などの語学習得をしてみたいという人間がいても不思議はない。そんなニーズに応える民間の小規模語学学校がアンダルシアには結構ある。

以前からこの街にもそんな学校があることをネットで知っていたが、正直なところ通ってみようという余裕も勇気もなかった。しかし、今回は短期間でも、短期間だからこそ通ってみようかという気持になった。
日本での西語クラスとどんな風に違うのか大いに興味があったからだ。

まず昨年のうちにごく簡潔なメールで1週間でも受け入れてくれるか確認したところOKの返事。
学校案内では4週間がワンクルーのようだし、学費も前払い制になっていたが、とにかく直接訪ねて具体的に聞いてみるのが手っ取り早い。

手元の資料では憲法広場からそう遠くないサン ラファエル通り(Calle San Rafael)にあることになっている。行ってみると学校は確かにその17番地にあった。普通の住宅のような構えだが学校の表示があるので間違いない。
恐る恐るドアを開けて中に入ると奥左側に受付があり、一言用件を言うと中年ひげ面の男性(後で校長先生であることが判明)が応対してくれた。

帰国日がきまっているので来週1週間しか来れないのだけれどと言ったらちょっと困った顔になった。来週の木・金がセマーナ サンタ(Semana Santa=聖週間)の祝日で休校だというのだ。しかし、結局は予備に取っておいた帰国前日の月曜も含めて何とか4日間だけでもということで話がつき、教材込みの日割りの授業料も教えてくれた。

次にレベルチェックだ。こちらのスペイン語のレベルをみるために面接テストをするという。確かに自分のレベルに合ったクラスでないとこちらは勿論、教師も困ることになる。

隣の部屋に移って待っているとカッチリ眼鏡をかけた30歳代だろうか、女性(カルメン(Carmen)という名の先生)が現れ簡単な会話が始まった。
「いつ来たのか」「どこに滞在しているのか」「どこでスペイン語を勉強したのか」「地震・原発事故は大丈夫だったのか」などなど5分ほどシドロモドロのやり取りが続いた。

後で分かったのだが、もともと大きな学校ではないし、時期的にもオフシーズンのため当時開講中で対象になりそうなクラスは入門Ⅰと中級Ⅰの2つしかなく、どちらかに入れざるを得なかったらしい。

結局、「中級Ⅰではちょっと難しいかもしれないが、それでも良ければ受け入れます」と言われ、今更断る選択もないので了解、来週月曜日、始業開始の9時半に来るようにということになった。

その場で入学手続も済ませたかったがキャッシュが足りない。週末までに改めて手続に来ることを約して学校を辞した。
民間の小さな学校だったが故に、勝手な注文を並べる短期の旅行者にも最大限の融通を効かせてくれたということだろう。

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サン ラファエル通りにある語学学校。3階建ての住宅を学校にしている感じ。



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学校建物の壁面に「ACADEMIA BONANOVA」の学校名が張られている。



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街中を歩いていて「Spanish School」を見つけた。こんな所にも学校があるのか。


 [昼食後はミハスへ]

そろそろ昼飯時になってきたが、その前に観光案内所に寄ろうと思い賑やかな中心部を歩いていると”Exchange”の看板が目に入った。「両替屋」はいたる所にあるのは知っていたが馴染みの店があるわけでもないので試しに入ってみることに。

窓口が二つある小さいカウンターがあり、若い男と手伝いの女性の二人でやっている。早速、T/Cの換金ができるか聞いてみると、2.5%の手数料で換金OKだという。
忌々しさとホットする気持が交錯したが銀行では相手にされなかったのだから納得するほかない。ただしこれから昼休みで店を閉めるので17時以降に来てくれという、暢気なものだ。
午後はMijasに行って降りてくればちょうどそんな時間になってるだろうとこちらも頭を巡らす。

観光案内所は昔の建物の隣に棟を新築し一回り大きくなっていた。
地図など街の情報のパンフ、来週のセマーナサンタで行われるプロセッシオン(Procescion=カトリックの宗教上の山車の行列)の予定表などをもらう。
アンダルシアではセビージャの行列がもっとも有名だが、マラガもかなりのものでフエンヒローラからは終夜の臨時電車も出るという。勿論この街でも行われるらしい。

昼食は海辺近くの中華レストランで定食にした。チャーハンかやきそばをベースに決めて前菜、メイン、デザートをそれぞれリストから選択するスタイルでそれにビールと食後のコーヒーを付けても12、3ユーロで済む。

食事を済ませてまた中心街に戻り、バスターミナルからミハス(Mijas)行きのバスに乗り込む(正味15~20分)。以前滞在している時にも何度も登っているので新鮮味は薄れてしまったが、いつ来ても美しい所だ。

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新しい観光案内所(Oficina de Turismo)。内部はかなり広くなった。Renfeの駅やバスターミナルのすぐそばにある。

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”白い村”、ミハスの典型的な景色。サン セバスチャン通り。



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山の斜面に拡がるミハスの白い家々。



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ミハスから見る地中海。空気が澄んでいればアフリカも見えるとか。海岸沿いはフエンヒローラの街。



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かなりの急斜面に建物がへばり付いている。



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展望台そばの小休止したレストランからの景色。


 [アフリカへのバスツアー]

ミハスから下ってきてまず寄ったのは両替屋。お昼に寄った時の条件で問題なく現金を入手し次に観光案内所近くの旅行代理店へ。

幸い、待つことなくすぐ応対してくれてタンジール(モロッコ)への日帰りバスツアーのことを聞いてみると、明日はちょうどツアーがある日だという。早速申し込むことに。

実は4年前に来た時に一度行っているのだが、今回は初めての同行者に一緒することにしたのだ。それにしても同じツアーに2度行くのもめずらしいか・・・。

とにかくホテルまでバスが迎えに来てくれて、フエンヒローラ→タリファ(Tarifa)港→(フェリー経由で)タンジールへ行き、現地でバス観光(昼食付き)後、同じルートを戻るという日帰りツアーが数千円というのは如何にもお得感がある。
以前よりは2割近く上がっていたが、円ベースではむしろ安くなっている。

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寄った旅行代理店が扱う周辺ツアー(主に日帰り)の値段と催行日。手頃な値段でジブラルタル、タンジール、グラナダ、ロンダ、コルドバ、セビージャ、ネルハなどに行ける。


 [インターネットカフェ]

今日の残された最後の予定はネットカフェの確保。

市内には日本で見る以上にネットカフェは多い。ネット時代が到来する前、外国からの滞在者向けに長距離電話サービスをしていた小店がネットカフェに変身したケースが多いようだ。その名残りか、店内の片隅には電話ボックスが必ず並んでいる。

以前来た時によく通った店に行ってみると、何と床屋に変わっていた。スペイン語をあまり話さないイギリス人(?)の老夫婦だったが、日本語も読めるように調整してくれたのだが・・・。

さて困った。普通の店では日本語で読み書きできない場合が多く、店にパソコンに詳しい誰かが居れば調整してくれる場合もあるが、店番しか居ないようだとまず無理だ。

そこで改めて観光案内所に寄って近くのネットカフェを幾つか地図に落としてもらい、教えてもらった比較的近い一軒に行こうと出たすぐそばで小さなそれらしき店を見つけた。

狭い入口を入ると奥右手に電話ボックスが2つ、パソコンの小さいブースが6つほどの小じんまりした店で年配のオバさん一人でやっているらしい。
これでは日本語の読み書きは無理かなと思いつつ聞いてみると、ちょっと待てと言い端の一台を調整してくれてこれでどう?と言ってきた。

富士通製のデスクトップでスペイン仕様だったが、インターネットへの接続は万国共通、yahoo japanを開くと日本語の表示になり問題なく読める。
さすがに日本語で書くソフトは入っていないのでそれはムリだったが、ホットメールなら日本語で読める。自宅に来ていたメールは確認でき、ローマ字なら返信もできる。

1時間、1.5ユーロだったか、安いものだが終わってオバさんに支払をしていると思いがけない話が飛び出してきた。

「あなた日本人でしょ?原発の事故は大丈夫なの?」と不意に聞かれた。完全には聞き取れないが要するにそういうことと理解。
こちらからは「東京近くに住んでいるが、原発からは200km以上離れているので問題ないと思う。」と何とか応えたが、納得していない様子。

その後何回か寄ったが、あるとき身内と見える女の子と話している時があった。耳をそばだてるとどうもロシア語に聞こえる。そうか!そういえば見かけはロシア人のオバさんにも見えるし、きっと彼女はチェルノブイリのことを身近に知っていてフクシマのことを心配していたのかと納得。

チェルノブイリを経験したウクライナ周辺は勿論、ヨーロッパ全体が今回の日本の事故を日本人よりはるかに深刻にみていたのは当然だったということだ。
その後、放射能汚染の実態が明らかになるにつれ、自分の認識が如何に甘いものであったか思い知らされることとなった。


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以前は正面の「peluquria(床屋)」の場所が”Oasis”というネットカフェだったのだが・・・



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この看板に”internet”とあったことで店の存在を知った。


 (以下、アンダルシア④に続く)


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