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アンダルシア②(マラガへ)

  [高速鉄道でマラガへ]

泊まったホテルもよかったし、改めてセビ-ジャの街に親しみも湧き心残りもあったが予定は予定。ホテルに戻って急いで荷物をまとめ、タクシ-でサンタ フスタの駅(Estacion de Santa Justa)に向かう。

出発前に調べてあった予定の列車は12時35分発のマラガ行き直通の「Avant」(中距離区間を走る高速列車)だが、切符は持っていない。
駅構内で発着案内板にその列車があることを確め、切符をゲットすべく空いていた窓口で訊くとマラガ行きなら右端のカウンターだという。

この駅は南西部の拠点駅ということで利用者も多いのだろう。行先や列車種類別に窓口は分かれているようだ。
言われた先で行先、時刻、クラス、枚数などを告げるとすぐに切符を作ってくれる。代金の39ユ-ロはカ-ドで支払ってみたが何ら問題はない。

既に12時を回っているのでそのまま出発ホ-ムの6番線へ。特に改札もなくエスカレ-タ-でホ-ムに降りる構造になっている。
現在の駅舎は、92年のセビ-ジャ万博・高速新線開通に合わせて整備されたはずだがかなり大きな駅に見える。

別のホ-ムにはマドリ-行きだろうか、鼻先が突き出た流線型の「AVE」(マドリー行きなどの長距離区間の高速列車。)も見える。
6番線に降りたときはまだマラガ行きの「AVANT」の姿はなかったが、すぐに入線してきた。「AVE」と同じ車両を想像していたが、ちょっとズングリした一昔前のスタイルだ。

servicios-estacion-santa-ju[1].jpg
セビージャ、サンタフスタ鉄道駅。


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駅コンコースの発着案内板。只今時刻は12時05分。12時35分発マラガ行き「Avant」を確認する。さすがにターミナル駅で発着本数は多い。


CIMG2592.JPG
ホームへは駅コンコースからエスカレーターで下りる構造になっている。


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6番線に入ってきた「Avant]。


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別のホームに停車中の「AVE]。


 [RENFEの高速鉄道]

一般に”スペイン国鉄”と呼ばれる「RENFE」は、鉄道国有化により1941年に設立された政府出資の会社で、91年にインフラ部門と分離され今の運行会社「RENFE」となった。鉄道総延長が1.5万km(日本のJRは約2万km)というからかなりの鉄道大国だ。

一方、スペインの高速鉄道の歴史は1986年に始まる。
1992年のセビ-ジャ万博が決定し、これに合わせてマドリ-との間(それまでは単線でつながっていただけだった。)を何としても高速新線で結ぶ必要があった。
さらに、スペインは86年にEUに加盟し、EU基金から建設資金を借款できるようになったのも新線建設に弾みをつけたと思う。(もっともこの手の借金が現在の債務危機の一端になっているのも事実だろうが・・・)

スペイン国内の在来線は歴史的に広軌の1668mmだが、高速鉄道導入に際しては欧州標準の狭軌幅1435mmを採用している。というのは将来のフランスとの接続を考慮したからで、「セビージャ発(マドリー・バルセロナ経由)パリ行き」などの高速列車が走り出すのももうすぐだろう。

もっとも在来線では古くからフランスとの直通運転のためにどちらの軌道にも対応できる「軌道可変式車両」を多く運転してきたこともあり、その技術と実績は世界トップレベルと言われ近年では軌間可変の高速電車も世界に先駆けて実用化している。

新線の大部分は新ル-トとして建設している。建設期間とコストを考えれば在来線を改良するより有利との判断らしい。
1992年にマドリー(コルドバ経由)-セビ-ジャ間が開業した後、コルドバ-マラガは07年、マドリー-バロセロナの大動脈も08年に開通している。リーマンショック前に完成していたのは幸いだったかも知れない。多分今の経済情勢ならスンナリは実現しなかっただろうから。

aveル-ト.JPG
現在開通している高速鉄道路線の概要。路線によってそれぞれ呼称があり電車も違うようだ。



ave-sevilla-carlos-perez-arnau[1].jpgマドリー-セビージャ間を走るオ-ソドックスなタイプ。
AVE(Mad-Val).JPGマドリー-バレンシア間はこのタイプ。
AVE(Mad-Mal).JPGマドリー-(コルドバ)-マラガにはこんな列車も。
AVE(Sev-Mal).JPG今回セビジャ-マラガで乗った「Avant」。



 
[セビージャ→マラガ]

話を旅に戻そう。
「Avant」の車内は乗車率3割といったところか、これで採算はとれているのかと気にはなるが空いていて快適だ。
列車は滑るように定刻に発車し、45分でコルドバ(Cordoba)に到着、ここで向きを南に変えてマラガ(Malaga)に向かう。因みに北に向かえば1時間40分少々でマドリー(Madrid)に着く。

車窓から眺める景色は平原ないし丘陵地が多く、用地買収さえ出来れば新線の建設は確かに楽なものだっただろう。日本の新幹線のような高架部分はあまりないし、橋梁やトンネルも少ない。勿論そうでない箇所も当然あるのだろうが日本に比べて短時間に少ないコストで建設できたのは想像に難くない。

マラガ到着も定刻どおりの14時30分だった。昔と違って近年のRENFEの時間の正確性は特筆ものらしい。

マラガの駅も高速新線開業に合わせて一新されモダンなショッピングモール併設の駅舎になった。スペインでは駅に名前が付いているのが普通で、ここも「マリア サンブローナ駅」(Estacion de Maria Zambrona)と呼ばれている。「マリア サンブローナ」とは地元出身の女性哲学者だそうだ。

マラガは「コスタ・デル・ソル」の玄関口。高速鉄道の終点であり、国際空港も充実している。マラガ自体地中海に面していてその左右(西側と東側)約300kmの地中海沿いが世界的に知られたリゾート地「コスタ・デル・ソル」(Costa del Sol・・・太陽の海岸)だ。

その名のとおり年間325日は太陽が照るという気候の良さに魅かれてドイツ、イギリス、北欧などの”暗っぱしい国”から太陽を求めて多くの観光客がやってくる。
日本ではリゾートというと一部の人が行く所という刷り込みがあるが、こちらではそんなことはない。

特に夏は長い休みが取れるためか、金持ちでなくてもバカンスで家族が海沿いのリゾートに長期滞在するのが昔から当たり前になっているのは、長いバカンスの歴史のせいだろうか。
「コスタ・デル・ソル」にはリゾートの町が数多あるが、少ない予算で滞在できる家族向けのホテルも沢山あるようだ。


avant時刻表.JPG
新線を走る「Avant」は一端分岐駅のCordobaまで行き、向きを変えてMalagaへ南下するためかなりの遠回りだ。一方在来線は距離は短いが山がちなル-トで2時間半かかる。


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車内は空席が目立つ。



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コルドバを過ぎてすぐ右手に見えた丘の上の古城(砦)と村落。



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車窓風景①。一見、肥沃そうに見える農地が続くが、殆どがオリーブ畑(アーモンドかも?)のようだ。



CIMG2600.JPG
車窓風景②。同上。



CIMG2601.JPG
車窓風景③。同上。



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途中停車したアンテケーラ(Antequera)の高速新線の駅。人口4万のアラブの古城がある地方都市だが、この新駅は町から外れているのか農地の真っ只中にあった。


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マラガの「マリア サンブラーノ駅」(バスターミナル側)。


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マラガ駅の新しい近郊線地下ホームにフエンヒローラ行き電車が入ってきた。



costadelsolmap2.JPG
「コスタ・デル・ソル」の中心部の見取り図。今回もFuengirolaに滞在し、近くのMijas,Torremolinos,Malagaなどに出かけた。


[マラガ→フエンヒローラ]

マラガの街には改めて出直すことにしてまずは今晩の宿フエンヒローラ(Fuengirola)のホテルに急ぐことにする。
地中海沿いのフエンヒローラにはマラガから出ている近郊線に乗り換える必要がある。3年前に来たときはまだ改良工事中だったマラガの近郊線も既に完成していて立派な地下ホームに様変わりしていた。

地中海を左に見て列車は途中、「空港駅」、「トーレモリーノス」(Torremolinos)などに停まりながら43分でフエンヒローラに到着。地下駅から地上に出たところでタクシーをつかまえ市内西側にあるホテルに向かった。

このホテルも日本でネット予約してきたのだがチェックインは何事もなくスムース、しかも昔泊まったことがあるので勝手は分かっている。部屋数150ほどの中規模ホテルだが全てキッチン付きで特に家族で長期滞在する向きには部屋代も安いし絶好だろう。

今日は朝からの移動でやや疲れ気味ながら予定どおり夕方早めに落ち着くことができた。
一服してもまだ日は高い。今晩は部屋でゆったり飲んで食事することにし滞在中の食材調達のためホテルから道路一本挟んで向かいにあるショッピングセンター内のスーパーへ買物に向かう。

前に来た時も馬鹿でかいスーパーだなと思ったものだが、さすがに今は半分ほどのスペースが衣服や雑貨の売場に変わっていた。
水、ビール、ワインなどの飲物、朝食用の牛乳、チーズ、ヨーグルト、バター、パン、果物など、それに酒のツマミで絶対外せない生ハム・・・、ツナ缶、卵、そうそうコーヒーも忘れず
に・・・。

スーパーを出るときにはビニール袋のヒモが手に食い込むほどの重さだったが、これで30ユーロ程度なのだから物価はかなり安い。

mal-fuemap.JPG
Malaga-Fuengirola約30kmはRENFEの近郊線があり、朝5時半から23時ごろまで20分おきに43分で結んでいる。


CIMG2604.JPG
宿泊した長期滞在型ホテルの内部。左側はキッチン部分。右側に行くとベッドルーム。



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独立したベッドルーム。基本的に家族連れ仕様になっていて簡易ベッドを追加すれば大人2+子供2での滞在も容易。自炊を前提にすればホテル代も安いので総滞在費は極めて安価に収めることが可能だ。


CIMG2606.JPG
勿論、トイレ・バスルームは完備。



CIMG2607.JPG
7階の部屋のバルコニーからの景色。真下にはこのホテルのプールやテニスコートがある。遠くの建物の間に地中海が見える。海岸までは徒歩5分。

 
 
(以下、アンダルシア③に続く)



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utravelnote

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by utravelnote (2012-03-15 17:21) 

Eureka

はじめまして
今年の6月の旅行について調べている際、
偶然こちらのサイトにたどり着きました。
実はセビリアからフエンヒローラへの行き方を探していたのですが
同じルートで旅した方がいらしたので、びっくりしました!
しかもスペイン入りするまえにリスボン観光というプランまで同じだなんて!
ポルトガルは未踏なので、今回リスボンだけでも軽く観光しようと思って
プランをたてています。
鉄道+バスでの国境越えも時間があればチャレンジしてみたいのですが、今回は飛行機での移動の予定です。

十年以上前にセビリアからロンダ、ミハスを経由してフエンヒローラまで
バスで移動したことはあるのですが、もう当時どういう形で路線をさがしたのかもわからず困っているところでした。
renfeのページを見てもセビリア-フエンヒローラ間の時刻表や料金を探せなかったのですが、どこか参考になるサイトはありますでしょうか?
ちなみにフエンヒローラのあとはバルセロナに行く予定で
フエンヒローラからのマラガ空港線の時刻表も探しているのですが
見つからず困っています。

もしよろしければお返事いただけますでしょうか?
上記URLに「管理人へのお便り」というところがあるので
そちらへのご連絡でもかまいませんので
どうぞよろしくお願いします。

by Eureka (2012-03-25 12:23) 

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