アンダルシア①(セビ-ジャの半日散策)
[セビ-ジャのタパス バル]
ネット予約していたセビ-ジャのホテルはバスターミナルから歩ける距離のはずだが、曲がりくねった旧市街の狭い石畳を行くのもちょっと迷いそうで不安。
荷物もありタクシーにしたが、そのタクシ-も一方通行でぐるりと遠回りしていたようだ。
無愛想な受付だったがチェックインは何らの問題もなくまずは部屋へ。ドゥケ広場(Plaza del Duque)に面した都市型風の中級ホテルで、明るくて必要にして十分な室内設備も快適だ。広場を挟んだ向かいにはデパ-トのEl Corte Inglesが見える。
ドゥケ広場。ヤシの植え込みがいかにも南国らしい。
ドゥケ広場に面していた泊まったホテル。
室内はゆったり落ち着いた雰囲気で快適。
ホテルの窓から広場を見下ろすと向かいに西日を受けた El Corte Ingles のデパ-トがあった。これで午後の8時40分、日没はもうちょっと先だ。
部屋で一休みすると俄然腹がへってきた。そう言えば今日の昼はファ-ロのカフェテリアでちょっと摘まんだだけだったので当然ではある。
セビ-ジャには事前に案内書を読んでいて寄ってみたい店があった。今晩の夕食はその「Robles Tapas」というスペインバルにしよう。
地図で見ると市役所とカテドラルの間の狭い路地にあり、ホテルからは徒歩で行ける距離だ。
夜の9時台はスペインでは宵の口、ちょうどパセオ(散策)の時間帯で街は結構の人出である。
ホテルを出てカテドラルに向かってしばらく行くと、左手に市役所があり目検討でその先を左折、小路に入ってウロウロ探したがお目当ての店はなかなか見つからない。諦めかけた頃、賑やかな一角にようやく「Robles Tapas」の看板を見つけた。
店内は小じんまりとした落ち着いた雰囲気でカウンタ-と4~5つのテ-ブル席があり、外の街路にもはみ出してやはり幾つかのテ-ブルが出ていた。まだ早いのか店内には先客は居らず、カウンタ-そばのテ-ブルに席を取る。
カ-ニャ(生ジョッキ)に赤ワイン、つまみにスペインオムレツやロシア風サラダなどなどの定番のタパス類を幾つかもらい、気さくな感じのカマレロ(Camarero、スペイン語でウェイタ-の意)のお兄さんにオススメを訊くと、「オックステ-ルの煮込みが旨いよ!」との返事。
勿論それもお願いしたが、トロけるようになるまで煮込んだ牛の煮込みはなかなかの美味だった。
日本に戻って見たテレビの旅番組で、「セビ-ジャの”牛テ-ルの煮込み”はこの地方の代表的な料理で・・・」と言っていたが、さもありなん・・・だ。
そこそこ飲んで食べたうえに愛想のいいカマレロのアテンド付きで20ユ-ロ弱とは・・・、期待どおりの店だったことにすっかり満足して夜の旧市街を散策しながらホテルへ戻る。時刻は11時を回っていたが宵っ張りの街はまだ人どおりが続いていた。
セビ-ジャには数多のバルがあるはずで比較はできないが、あんな店が日本にあれば最高なのだが・・・、機会があれば是非また訪れてみたい店である。
ホテルを出てCalle Velazquez(ベラスケス通り)を中心部に向かう。
店の入口に「Robles Tapas」の看板が。近くに老舗レストラン「Robles」という本店があり、そこのタパス専門店という位置づけらしい。
カウンタ-の奥の棚、残念ながらシェフは顔を出してくれず。
カウンタ-の様子。なかなか雰囲気がある。
オススメの「オックステ-ルの煮込み」、軟らかく煮込まれていて味は文句なし。
カウンタ-奥の壁は酒類とグラスで一杯。装飾にもなっている。
店内の全容、大きな店ではない。
[セビ-ジャ中心部をブラリ]
セビ-ジャには5年ほど前にツア-で一泊したことがある。
ツア-の常で少ない時間に観光の予定がギュっと詰まっていた。スペイン広場やカテドラルの周辺をゾロゾロと歩きヒラルダの塔にも登ったうえ、夜はタブラオでフラメンコショ-も観たりでとにかくスケジュ-ルをこなすのに忙しかった。
今回も途中下車で一泊の旅、昼すぎには列車でマラガ(Malaga)に向かうことにしているので余裕はないのだが、わずかの時間でも気ままに歩いてみるのは悪くない。
幸い今朝も天気は上々、ホテル前のカフェテリアで朝食にする。
朝の忙しい時間帯はすんでいるようでテ-ブルは空いている。広場に面したテラス席を確保し「チュ-ロスとカフェ・コン・レ-チェ(カフェ・オレ)」を頼んだ。
ホテルの予約を朝食なしにしていた甲斐(?)もあって以前から本場のチュ-ロスを一度試したいという願いはようやく叶えられた。
チュ-ロス(Churros)は日本でもすっかりお馴染みだが、本来はスペイン起源の揚げパンの一種で、熱湯で練った生地を星型の搾り器から搾り出して油で揚げ、砂糖、ハチミツ、シナモンなどをまぶしたりチョコレ-トに浸したりして食べる。
ちょっと軽めだったが、意外とあっさり揚がっていていくらでもいけそうだった。
さて散策の前にセビ-ジャについて改めて少し触れておくと・・・。
「セビ-ジャはアンダルシア州の州都、スペイン南部の政治、経済、文化の中心地であり観光都市でもある。人口は70万人(セビ-ジャ都市圏では130万人)でスペイン第4位の都市、紀元前から続く長い歴史を持つだけに街の佇まいには風格が感じられる。
また、セビ-ジャは内陸の町なのに河川港の町でもある。グアダルキビル川を約100km下れば地中海に出ることができ、大航海時代にはこの港から新世界に向けて冒険者たちが出帆していったという。
1992年にコロンブスの新大陸発見500年を記念してセビリア万博が開かれたのは記憶に新しい。」
朝食を終えてホテルをスタ-ト、昨夜歩いたベラスケス通りをやっぱり「カテドラル」に向かって歩く。
途中左側に市役所があり、右に「ヌエバ広場」を眺めながらまっすぐ「カテドラル」の前まで来る。
そう言えばツアーの時もここで写真を取ったなあと思い出しながらまた青空をバックに「カテドラル」と「ヒラルダの塔」を撮ってしまう。振り返えれば「アルカサル」の入口だ。
いずれも、8世紀以降500年続いたモ-ロ人による占領時代に建造されたもの若しくはその跡地にキリスト教時代になって建設・増改築されたもの。当然、イスラム文化の影響が色濃く残されていて、北部ヨ-ロッパの繊細優美な教会建築などと比べると粗野な感じもするがそこがまた独特の風合いを感じさせる。
入場するには時間不足で割愛し、近くにあった観光案内所に寄ってからグアダルキビル川方向にブラブラ向かう。
ホテルの前のカフェテリアで念願のチュ-ロスとカフェ・コン・レ-チェの朝食。癖のないソフトド-ナッツといった感じでいくらでも食べれそう。
朝のベラスケス通り。何となくのんびりした雰囲気で観光客風が多い気がする。
セビ-ジャ市役所、遠方に見える塔は「ヒラルダの塔」で街歩きの目印だ。
市役所の前は「ヌエバ広場」になっている。
「カテドラル」と奥に見えるのが「ヒラルダの塔」(本来鐘楼で高さ97.5m、先端部分は4mのブロンズ製女性像になっており、この部分が風見鶏(ヒラルダ Giralda)になっている)。
カテドラルのすぐ南側にあるのが「アルカサル」(Alcazar、アラビア語で砦または宮殿の意)、その入口。
アルカサルの内部、グラナダのアルハンブラ宮殿を彷彿とさせる。
川沿いのクリストバル・コロン通りに出ると視界が開けグアダルキビル川(Rio Guadalquivir)の水面がキラキラと光っている。
500年前には本当にカラベラ船がこの川を行き来したのだろうか?それほど大きな川には見えなかったが。
時間があれば対岸のトリアナ地区にもと思ったがそんな余裕はなく、ホテルの方向を意識しながら川沿いに上流にいくと「黄金の塔」(Torre del Oro)が目に入った。
往時には塔の上部が金色の陶器レンガで覆われ、対岸には銀色の塔(現在はない)があって、川に鎖を張って侵入者を防いでいたそうな。要するに川の関所の役を担っていたらしい。
さらに進むと右手に円弧を描いて白いニ階建ての建物が見えてきた。18世紀に建設された「マエストランサ闘牛場」(Plaza de Toros de la Maestranza)だ。
セビ-ジャは闘牛の本場・聖地と言われてきた土地柄だが近年は逆風が吹いている。
と言うのは、2000年代になって闘牛に対する意識はスペイン国内でも様変わりしているようで、07年の国勢調査では国民の3/4が「闘牛に関心がない」と回答するほど人気は低迷しているらしい。
10年7月にはバルセロナがあるカタル-ニャ州で初の闘牛禁止法が成立、12年から州内で闘牛が行なえなくなるという。カタル-ニャ州の場合、人気低迷や動物愛護の高まりのほかに、独自の文化とスペインからの独立気質を持つ「地域主義」が背景にあるのは確かだろうが・・・。
時計は11時を回っている。急いでホテルに戻らなきゃ。セビ-ジャ発12時35分のマラガ行き特急に乗る予定だ。
12角形の「黄金の塔」。現在は海洋博物館。
グアダルキビル川沿いの散策路。
クリストバル・コロン(クリストファ-・コロンブスのスペイン語表示)通りの散策路から見たグアダルキビル川。対岸はトリアナ地区。
マエストランサ闘牛場の外観。外から見てるだけでは闘牛場とは気が付かない。
闘牛場に向かう横断歩道にあった待ち秒数表示信号。青は残りは16秒をしめしている。日本でもどこかで見た気がするがイライラ防止にはよい。
近づくとさすがに風格がある。
内部はこんな感じ。
壁に張り出されていた2011年の開催予定。4月下旬から5月、6月と続き、9月にまた再開するようだ。太字になっているのは主演(?)闘牛士の名前のようだ。
朝来た路をホテルに急ぐ。
(以下、アンダルシア②に続く)
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