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リスボン⑩(国境越え)

 [まずファーロへ]

5泊6日になったリスボン滞在も今朝で終り。今日はファーロ(Faro)経由で南スペインアンダルシアのセビージャ(Sevilla)に向かう。

初めてのポルトガル リスボン、上っ面のみだったが”サワリ”の部分は効率よく周れたと思う。しかし、中北部のコインブラ(Coimbra)やポルト(Porto)方面にも行かないとこの国の全体像はもう一つ掴めないのかも知れない。

16世紀に世界に冠たる海洋国家として黄金時代を築いたポルトガルも、その後はリスボンの大震災もあって凋落の一途を辿り、植民地だったブラジルにも宗主国顔ができないほど落ちぶれてしまった感がある。

国力の面では浮上する気配が見えないが、何故か懐かしさがこみ上げてくるリスボンの街並みは旅人の心を掴まえて離さない。特に日本人にとっては16世紀に初めて出会った西洋がこの国であったためか、親しみを感じさせる人気の旅先のようだ。

さて、リスボン初日に切符を入手したファーロ行きの電車はオリエンテ駅発10時20分だ。
本当ならホテルから比較的近いエントレカンポス駅やセッチ・デ・リオス駅にも停車するのでそこから乗れば時間短縮になるのだが、大きな荷物を引張っているので何かと紛れは避けたいところ。ということでゆったりと乗れる始発のオリエンテ駅へタクシーで向かった。

この駅は、市の北東部の飛行場にも近い地帯が新市街地開発され、その新交通ターミナルとして鉄道、バス、地下鉄の拠点駅にもなっている。初日に切符を買いに来たので勝手もわかっていて不安はない。

改札口はないので案内板でホーム番号を確かめ階段を登ると高架のホームに出た。


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ホーム下のコンコースの案内板。一番下に「10:20 Faro行き 3番線 IC(都市間急行)」とある。



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この時刻表は12年1月のもの。列車の出発時刻は旅行当時と同じOriente発10時20分と変わらないが、Faro到着が13時40分と当時に比べて30分も短縮されている。その後ダイヤ変更があったのか?その代わり値段も19から21ユーロに値上げされている。

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この階段を上がってホームへ、勿論エスカレーター付きだったはず。


ホームにはまだ電車の姿はなかったが、10時ちょっと前になって赤い先頭車に引かれてアルミ車体の列車が入線してきた。
切符に記載の車両番号、座席番号で座席もわかり荷物も専用のスペースに置けてほっと一息だ。

しかし、ここで意外な状況に唖然としてしまう。何と車両の全ての窓ガラスが”すりガラス状”になっていて外を見通すことができないのだ。
これってどいうこと?秘密主義の某国(?)でもあるまいし、観光客に外の景色を見せないとは何とも理解できない。単に車両が年代ものなのか、車両整備をさぼっているのか、これならバスの方がよかったと思うものの今更遅い。

日本で言えば在来線の特急という感じで車内はガラガラ、乗り心地も悪くはなかったが、結局途中の景色は楽しめず仕舞いだった。


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モダンな屋根が付いたホーム。見ずらい電光掲示板だが10:20発、FARO行きになっている。



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10時前、赤い車体の電気機関車に引かれてFARO行きが入線。


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客車は4両編成か。



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車体にLisboa-Faro-Lisboaの看板が。


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別のホームに近郊電車(?)が到着。


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座席の前面(前の座席の背中)に付いている「快適な旅のために」とある案内板。



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ガラガラの車内。窓が何故かすりガラス状態で目隠しをされたようなもの。


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14時過ぎ終点のFARO駅に到着。


 [ファーロでバスに乗り換え]

14時過ぎにファーロ駅に到着。ここでさらに普通列車に乗り換えれば1時間ちょっとでスペインとの国境の町、ヴィラ・ヘアウ・デ・サント・アントニオ(V.R.de Santo Antonio)まで行けるのだがその先は国境のグアディアナ川(Rio Guadiana)に遮られていて鉄道はつながっていない。

昔はフェリーしかなかったようだが、1991年に対岸のアヤモンテ(Ayamonte)まで4kmの橋が完成し現在スペインへはファーロからのバスで入るのが便利で普通のようだ。
もっとも、フェリーは今でも健在らしく小さな渡り船で両町の間を15分でつないでいるという。

天気は快晴だ。ファーロのバスターミナルは駅から200mほど離れている。
荷物を引きずってターミナルへ移動。電光案内板で15時35分発セビージャ行きがあることを確かめておく。

ファーロはポルトガルの最南端の海辺の町でアフリカに近いせいか、イスラム勢力が最後までとどまった町として知られる。

現在は英・独からの直行便もあって周辺リゾートへの玄関口になっているが、最も寒い1月でもmax15ーmin9度、真夏の8月は29ー19度という温暖で好天日の多い気候がその人気の源だろう。

もうちょっと時間があれば市内散策と思ったが中途半端な時間しかなく待合室でおとなしく待つことにした。


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ファーロ→セビージャ間の地図。国境のグアディアナ川まで60km強、スペインに入るとA-49号線経由セビージャまで直線で200km弱。


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ファーロのバスターミナルの掲示板。光って見ずらいが中央に「SEVILHA 15:35」が読み取れる。


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路線図。左端からLagosbaーPortimaoーAlbufeiraーFaroーOlhaoーV.R.de Santo Antonio
ーAyamonteーHuelvaーSevilhaとある。

 

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バス時刻表。ポルトガルースペイン間に1時間の時差があり、セビージャ20:15着はポルトガル時間では19:15。


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ファーロのバスターミナル待合室兼カフェテリア。



 [いよいよ国境越え]

ほぼ定時にセビージャ行きが到着。ファーロが始発かと思っていたらポルトガルの最南西端の町ラゴス(Lagos)から来たバスのようで先客もそこそこ乗っている。

荷物のトランクはセルフでバスの横腹に収納し、バスはすぐファーロのターミナルを出発した。
小ぎれいだが特徴のないファーロの新興住宅街を抜け、幹線道路を東に向かう。

バスはオリャン(Olhao)、タヴェイラ(Tavira)の小さな町に寄った後、国境の町サント・アントニオに入る。
日本でもそうかも知れないが、こちらの幹線道路(一般にフリーの高速道路)は町から離れた郊外を通っていてインターチェンジからの接続道路を経てそれぞれの町につながっている。

当然、バスターミナルは町の中心部にあるから一度ICを出てターミナルに向かいまた高速に戻るには結構時間がかかる。こんな寄り道を繰り返すのでトータルではかなりの時間を要することになる。

ファーロ→セビージャ間は200km程度、寄り道なしなら2時間そこそこで着くはずだが、バスの時刻表によれば正味3時間40分かかっているのはこんな背景もある。

もっとも急ぐ旅でもなし、辺境の小さな町の佇まいをこうやって車窓から楽しめるのもバス旅の魅力の一つではある。

サント アントニオの市街を出て高速に戻るといよいよ国境だ。
国境のグアディアナ川を渡る橋はかなり長い吊り橋だったが、チェックポイントらしきものは何もなくスピードを落とすこともなしに渡切り、アヤモンテ(Ayamonte)のターミナルに向かった。

国境越えを意識していなければ単に大きめの川を一本渡っただけのこと。川の国境越えで何か感慨が湧き上がるかと思っていたがあっけないものだった。

バスは淡々と高速を進む。ウェルヴァ(Huelva)でトイレタイムの小休止、セビージャには予定より10分早くスペイン時間の20時すぎにプラサ・デ・アルマス(Plaza de Armas) バスターミナルに到着した。
ヨーロッパの各都市にもつながっている、とにかく大きいバスターミナルだ。

この時間になってもヨーロッパの南で西のはずれの地では日没が遅く、まだまだ明るい夕方だった。


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ターミナルに到着したバス。中央女性の頭で隠れているが行先の看板はSEVILLA」(セビージャ)になっている。



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ファーロ郊外の新興住宅街を抜けて高速道路に向かう。



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同じくファーロ郊外。



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サンアントニオのバスターミナルを出て再び高速道路に入り国境のグアデイアナ川橋を渡る手前か。右手にはグアディアナ川の河川敷湿地帯が続く。



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国境のグアデイアナ川橋を走行中。河口(下流)方向を撮影。川幅は結構広く大河だ。



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同じくグアデイアナ川橋を走行中。左側の街影はスペイン側のアヤモンテ。



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スペインはウェルヴァの市街。



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ウエルヴァを出てセビージャに向かう。沿線の風景。


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A-49号線を快調に走行。そろそろセビージャだ。



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セビージャのプラサ・デ・アルマス バスターミナルの広大な離発着場。



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外に出るとこのバスターミナルが何と馬鹿でかいことかが判る。Sevillaにはさらにプラド デ サン セバスティアン(Prado de San Sebastian) という別のバスターミナルもあるというのに。


  (以下、「アンダルシア①」に続く)


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