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リスボン③(リベルダージ通りほか)


  リベルダージ大通り

昨夜リスボンに到着、できるだけ寝ておこうとベッドに入ったものの簡単に寝付けるものではない。
浅い眠りを繰り返しているうちに6時を回りもう寝入るのは諦める。

今日はリスボンの実質的初日、せめてもとシャワーでシャキっとさせ8時には朝食をすませる。

朝のTVでは「ついにポルトガル政府、EUとIMFに正式に金融支援を要請」というニュースが流れていた。
時間の問題と言われていたポルトガルの財政破綻だが、5月初めに780億ユーロ(約9兆円)を融通してもらうことで基本合意したらしい。
日本を発つ前からこの件では緊縮政策に反発する市民の抗議デモが頻発と報じられていたが今日は大丈夫だろうか?

しかし今日は片付けたい用件もあり9時過ぎホテルを出る。天気は快晴、暑くも寒くもなく快適だ。
まず向かったのは中心街にある観光案内所。

それは地下鉄「レスタウラドーレス」(Restauradores)駅のそばにあり、ホテルの最寄り駅「パルケ」(Parque)から三つ目だ。おおよそ1.5kmあるが
街の雰囲気を感じるべく敢えて歩いて行ってみる。

ルートはこの街の中心道路、リベルダージ通り(Av.Liverdade)をテージョ川方向にブラブラ下っていけばよい。
散策にもピッタリだし20分も歩けば右側にあるはずだ。



CIMG2923.JPG
以下に今回利用した主な地下鉄駅を紹介する。(上の地下鉄路線図参照)

「パルケ」:宿泊したホテルの最寄り駅。エドゥアルド7世公園そばにある。
「レスタウラドーレス」:リベルダージ大通りの終点にありさらに南に広がる繁華街の始まりでもある。有名なロシオ広場や郊外電車の始発駅であるロシオ駅のそばなのでリスボン観光の起点だ。
「ジャルジンズロジコ」:リスボン最大の長距離バスの「セッチ・リオス・バスターミナル」がある。スペイン行きのバスはここが始発。ポルトガル国鉄(CP)のセッチリオス駅もあり交通の要衝。
「サン・セバスティアン」:地下鉄乗換駅。隣接してスペインの大手デパート、エル・コルテ・イングレスがある。
「オリエンテ」:市の北東部にあり空港も近い。ポルトガル南部に向かう鉄道の始発駅。98年開催されたリスボン万博の会場になった所で現在は新市街地として発展中。
「バイシャ-シアード」:地下鉄乗換駅。
「カイス・ド・ソドレ」:ベレン地区やカスカイス方面への乗換駅。



CIMG2243.JPG                                     リスボン大地震復興の立役者、
ポンバル侯爵の像(何故かライオンを引き連れている)が中央に建つポンバル侯爵広場。



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別の角度からみたポンバル侯爵広場。



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リベルダージ通りの北側に拡がるエドゥアルド7世公園から南方向を遠望。ポンバル侯爵の塔の先に広い緑の中央分離帯を持つリベルダージ通りが延びている。その先のテージョ川も見える。



エドゥアルド7世公園を右にしてボンバル侯爵の塔が建つロータリーからリベルダージ通りに入る。現在このあたり一帯はポルトガル経済の中心地として銀行・保険、ホテル、航空会社などのビルが並ぶビジネス街になっているが、これが1755年のリスボン大地震で壊滅した後の復興した姿であるという話は知る人ぞ知るだろう。

1755年11月1日の午前9時40分、大地震がリスボンを襲った。
震源は大西洋、マグニチュード8.5~9.0と言われ、市内の85%の建物は倒壊、約40分後に押し寄せた15mに達する幾波もの津波と5日間続いた火災で、当時人口30万弱の市内はほぼ灰燼に帰し数万人の犠牲者が出たという。
先日の東日本大震災の残像が鮮明に残っている今、この時のリスボンの惨状もそれに重なって目に浮かぶ。

若干違うのはこの後だ。ポルトガルでは当時の宰相セバスティアン・デ・カルヴァーリョ(後のポンバル侯爵その人)がリスボンの復興に強力なリーダーシップを発揮し次々と大英断を下す。

その中で彼の再建コンセプトは、「大きな広場と直線状の広い街路」にあり、この町の中心部に
パリのシャンゼリゼに倣った延長1.5kmの幅広の中央分離帯をもつ直線道路を配した。

当時は構想が壮大すぎて相当の反対があったらしいが、今ではこれが「リベルダージ大通り」としてリスボンきっての目抜き通りになっているわけだ。

しかし、話はこれで終わらない。
大航海時代にはスペインと並ぶ強国だったポルトガルだが、この地震を契機に植民地拡大の勢いは殺がれ、新興国イギリスとの競争の激化などに消耗して国力は徐々に衰退に向かった。
結局250年余を経た今日まで回復することはなく、
とうとう今朝のニュースにつながってしまったということになる。なにか身につまされる話だがもって瞑すべしではないか。


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プラタナスの木陰を持つリベルダージ通りの中央分離帯内散策路。札幌の大通公園に似ているかも。

 

  観光案内所

さて、観光案内所(インフォメーションセンター)に寄ったのはリスボン観光に便利な「リスボンカード」の購入とスペインへの移動時に乗るファーロ→セビージャのバス切符の情報入手だ。
時間が早かったので待つことなく対応してもらえたがわずか10分ぐらいの間にあっという間に案内所は人で一杯になっていた。


「リスボンカード」はリスボン観光で使う乗物(地下鉄、市電、ケーブルカー、バス、近郊電車など)用のスイカのようなもので一部観光施設では入場料がただになったり割引になったりもする。

このカードは有効時間によって3種類あり、24h用17.5€、48h用29.5€、72hが36€とちょっと高い。
地下鉄は市内は概ね0.9€なので、恐らく元は取れなかったかも知れないが、改札がかざすだけで通れる楽さ加減は捨て難く、今回は滞在日数を考えて72時間用をクレジットカードで購入した。
なお、この他にもいろいろな乗車券があるので動き方に応じてさらに有利なチケットがあるかもしれない。


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上が「リスボンカード」、下は「viva viagem」という地下鉄の1日乗り放題切符(4.2€)。



バスの件は「セッチ・デ・リオス」バスターミナルで訊けという。ただ切符はバスに乗る町でないと買えないだろうとも言っている。即ちファーロへ行かないと買えないことになる。そんな馬鹿なと思いつつその足でバスターミナルへ行ってみることにする。

早速買ったばかりのリスボンカードを使ってバスターミナルのある「ジャルジンズロジコ」(動物園)駅に向かおうとすぐそばの地下鉄への階段を下りると、何とシャッターが閉まっているではないか。
貼り紙があって11時半まで開かないようだ。今朝のニュースに関連するストということだろうか。それにしてもこのハリ紙だけでは何のためのストかよく分らない。


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観光案内所前あたり。リベルダージ大通りの終点になるレスタウラドーレス広場付近。



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ハリ紙で言っているのは「greveのため地下鉄閉鎖中、11時半ごろ再開予定」というぐらいの意味か、greveを後で調べるとストライキとあった。(レスタウラドーレス駅)



  コメルシオ広場

只今の時刻、10時半前、再開までにまだ1時間以上ある。それではということでさらに下ってテージョ川そばの「コメルシオ広場」まで行ってみることにする。 

「リベルダージ通り」が終わって続く「オウロ通り」をテージョ川に向かう。
このあたりは川面とあまり標高差のない下町の繁華街で碁盤目状の道路が拡がっている。
恐らくリスボン大地震の津波で被災したに違いなく、その後の都市計画で碁盤目の街区になったのだろう。

15分ぐらい歩いて大きな広場に出た。コメルシオ広場だ。
その先は海のようなテージョ川。
そもそもコメルシオ(comercio)とは”商業、交易”という意味だから恐らく大航海時代には河運
にも恵まれて人や物資が行き来する一大商業スポットだったのは想像に難くない。


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石畳のオウロ(黄金)通りをテージョ川に向かって歩く。



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コメルシオ広場への正面出入り口になる”勝利のアーチ”。改めて見るとなかなか立派な凱旋門だ。往時の栄華が偲ばれる。門をくぐるとアウグスタ通り、まっすぐ行くとロシオ広場にぶつかる。



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広場の真ん中には由緒がありそうなドン・ジョゼ1世の騎馬像がある。背景は”勝利のアーチ”。




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広場の先はそのままテージョ川になる。下流遠方に4月25日橋が見える。



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リスボンの市電は古い電車が多いがこんな新車も混じっている。(”勝利のアーチ”の前で)



地下鉄がストで止まっていたために時間つぶしで寄ったコメルシオ広場だったが、バイシャ地区の下町の雰囲気にも触れることができたのは思いがけない拾い物だった。

時計は地下鉄再開の11時半になっている。
ここからならバイシャ-シアードの駅が一番近そうだ。
地図を頼りに駅に着くとストはとっくに解かれていて何事もなかったように人々が流れている。

リスボンの地下鉄は4路線しかなく、青・緑・赤・黄の色で区別されている。
この駅は「ブルーライン」と「グリーンライン」の乗換駅で人も多く、案内板の駅名を見ても馴染みがないので乗りたいホームに出るのに一苦労する。
行きたいのは「ブルーライン」の「ジャルジンズロジコ」駅。
少し迷ったが何とかホームに辿りつく。

 (以下「リスボン④」に続く)




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