⑤ フエンヒロ-ラの春祭り(2)
[残りの国々も続々到着]
パレードの先頭スペインが通り過ぎてからもう1時間、「日本」が14、5番目だからおおよそ半分が通過したことになる。いよいよ佳境に入った残りのパレードの模様とその後立ち寄った日本館の印象を写真中心で続けよう。
鮮やかな青色のスカ-トが眩しい「パラグアイ」の民族衣装。パレ-ドを終えて記念写真撮影中。
今、世界の耳目を集める「パレスチナ」の人達も参加していた。
アンデスのインディオを想わせる山高帽と肩を覆ったショールが特徴がある「ペル-」の女性。
大きな国旗とともに色鮮やかな民族衣装の大部隊で登場した「ボリビア」の一団。
アンデスの高原に住む昔のインカの末裔の装いだろう。華やかな羽飾りの帽子に特徴がある。
会場には「車椅子」で見物にきている年寄りも結構いて老いも若きもお祭りをのんびりと楽しんでいる風情は平和そのもの。
ボリビアの子供たちの衣装もなかなか凝っている。
キルトとも呼ばれる男性のタ-タンチェックのスカ-ト姿は、「連合王国」(所謂イギリスのこと)に属するスコットランドの代表的な民族衣装。
「イラン」の民族衣装姿はめずらしい。後ろの男性のプラカ-ドに何が書いてあるのか気になり、拡大してみるとスペイン語で「ゾロアスタ-教の三つの教え、それは良く考え、良く話し、良く行うことだ」とあるがいまいち良く分からない。
北アフリカの大西洋に浮かぶ絶海の島々「カナリヤ諸島」(スペインの一部)からの人達。
白地のロングスカートに「コロンビア」国旗から取った青・赤・黄の三色のラインをあしらった女性の衣装はなかなか清楚。
女の子の衣装もかわいらしい。
参加者皆で記念写真の「コロンビア」の人達。
「中国」の若者が長いチャイニーズドラゴンを担ぐ出し物は迫力があった。全世界に勢力を伸ばしている国の力を感じさせる。
世界どこに行っても中華料理は食べれるというがスペインでも同様。実際このフエンヒローラの街だけでも大小10を超える中華レストランがあったと思う。というくらいだからドラゴンを担ぐ若者を集めるのは容易?
地中海を挟んで対岸の国、「モロッコ」。アフリカからの数少ない参加国。イスラム教の国だがあまり馴染みがない衣装だった。
「日本」をはじめ、赤と白の2色だけを国旗に使った国は多いが「ポーランド」もその一つ、赤と白が上下逆になると「モナコ」や「インドネシア」になることを今回知った。
「ポーランド」の民族衣装は女性のそれが特に可愛らしい。
ポーランドの後に続いてきたこのグループ、なかなか凝った戦士の衣装(?)に見えるがどうしてもどこの国か分からず仕舞い。一見、南米のどこかに見えるが・・・
こちらは間違いなく「エクアドル」。若者ばかりの一団で楽しそうだ。
そして「ベネズエラ」と南米の国が続く。
コンガ、ボンゴ、スティールパン(?)を抱えて本隊を先導する「キューバ」の打楽器隊。
「キューバ」のお嬢さんと記念のスナップ・・・。
「キューバ」の綺麗どころは人気抜群だ。
圧倒的体格の「キューバ」のお嬢さんと記念ショットのお年寄り。
この出で立ちだから人気がない訳がない。
これでパレードもおしまい、力の入れ様はそれぞれだが、世界各地から集まった30を超える国と地方・町の人達の民族衣装姿を身近に見れるのはそんなにあることではない。しかもパレードの行列と沿道の人達の間がロープや警備員で仕切られていないのもフレンドリーでいい。多分これ以上大々的になるとそうもいかなくなるだろうが。
[日本館に行ってみる]
時計を見ると2時半を回っている。パレードを待っている間にそばのオープンカフェで何がしか飲み食いしていたので空き腹ではないが昼メシ時には違いない。
昨日の情報を思い出し「スシ」を求めて日本館に向かう。
パレードに引きずられるように沿道の見物客も各国ごとのカセタ(小パビリオン)が並ぶパラシオ デ ラパス広場に集まってきた。その雑踏の道路を進むとすぐに日章旗を立てた日本館が見つかった。
その入口横では鉄板の調理台で焼きソバの調理を実演しながら販売(一皿 3.5ユーロ)もしていた。匂いに誘われてか集まってくる見物人は途切れず人垣はなかなか崩れない。
中に入ると他にもメニューがあったが、迷わず「スシ」(4.5ユーロ)とビ-ルを所望・・・が、これが期待していた「スシ」というにしてはちょっとガッカリ。というのも出てきたプラスチックの皿にはカッパ巻き風ノリ巻き4個ほどとゆでエビ、タマゴ、赤身マグロのニギリが3個乗っているだけだったからだ。
しかし、よく考えてみるとちょっと期待しすぎていたようだ。多分、現地在住の日本人ボランティアの皆さんがこうやって日本食を調製し提供しているのだろうからこれ以上求めるには無理がある。
調べてみると地元マラガ県の邦人在住者数は2百数十人規模とのことで、そんな程度でこのお祭りへの初参加に向けた企画・準備をし、こうして実行しているとすればそのご努力に拍手を送るべきだろう。
とにかく訪れる外国人には「スシ」の人気は絶大で繁盛していたのはなによりだった。
カセタ内部にはちょっとした舞台もあり、活け花、お点前の実演や剣道、居合い抜き、舞踊のパフォーマンスもあったようだが、ちょうど立ち寄っている最中に入口前で「モチツキ」が始まった。文化背景が全く違う外国人に「モチツキ」がどう見えるのか興味津々だったが、なかなかの盛況ではあった。
日本館の正面。この催し会場にはこのような既設の建物(カセタ)が沢山並んでいて参加国に割り振られている。
入口右側では鉄板焼きで焼きソバを実演調理し持ち帰り用に販売していた。日本ではめずらしくもないが人垣は途切れず結構売れていた。
日本館の内部。小さい体育館ぐらいの広さで中央部にはテーブルとイスが置かれ、舞台(写真右側)も設えられていた。
内部では飲食物を中心に日本の民芸品などを販売しており日本の観光関連資料なども置いていた。
しばらくすると、入口で「モチツキ」のパフォーマンスが始まった。外国人には何事なのかまったく想像できない代物らしく、興味津々で見入っていた。
日本人によるデモンストレーションの後、見物客に声をかけるとすぐにやってみたいという男性が現れ、杵を振り上げたがなかなか息が合わず笑いを誘う。
元気の良い女性の挑戦もあり場は大いに盛り上がった。どうもこちらの連中は日本人よりはるかに物見高いようだ。
会場の中央道路の両側に各国のカセタが並ぶ、左側にベネズエラ、主催町フエンヒローラ、ドイツの旗が、右側にはチリ、ノルウエーが見える。
エクアドル館の前では民族舞踊が始まってあっという間に人だかりが。
ペルーカセタの壁にはマチュピチュ(世界の7不思議の一つとある)の横断幕が張られ観光宣伝に余念がない。
日本でもお馴染みのアンデス音楽の街頭パフォーマンスだがこちらではめずらしくないのか立ち止まる人は少ない。
この「お祭り」は主催者側の配慮があるのかまだ商業主義に落ち入らず、素朴さ、手作りの良さが残っていてほのぼのとした暖かさを感じさせる。しかも居ながらにして世界各地の雰囲気を気軽に味わえるのは楽しい限りだ。
毎年5月第一週の週末に開かれるようなのでタイミングが合う方には是非おすすめしたい。
次の機会があったらもう少しゆっくり楽しみたいと思っている。