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② ジブラルタルへ (1)

[ジブラルタルって?]
ジブラルタル(Gibraltar)と聞くと「大西洋から地中海に入る関所のような位置にある小さい国」、「英領の軍事基地」ぐらいのぼんやりした知識はあったが、少なくとも観光地というイメージはなかった。そんな程度だからコスタデルソルの西端にあたる意外に近いところにあるのに特に興味が沸くこともなかった。去年もモロッコのタンジールに日帰りツアーで行ったとき途中のバスからジブラルタルの特徴ある三角の尖った岩山(あとで調べると「ターリクの山」と呼ぶらしい)を遠くに見ていたのだが素通りだった。

今年またコスタデルソルに来て街中をブラブラしているとある旅行社の店先で日帰りバスツアーの案内看板が目に入った。そこにはグラナダ、ロンダ、セビージャ、コルドバ、モロッコ(タンジール)、ネルハなどの観光地の行先が並んでいてジブラルタルの名もある。その中で行っていないのはジブラルタルとネルハ近くの白い村、フリヒリアナ(Frigiliana)ぐらいだったが、とにかくジブラルタルも観光地の仲間に入っている。それなら一度行ってみるかという気になった次第。

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やや内陸部を走る高速道A-7号線からも見える岩の塊(ターリクの山)がジブラルタル。

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街の旅行社の前に出ていた英語の日帰りツアーの案内。全体にそんなに高くない。昼飯付きは10ユーロをプラス。

[ジブラルタルへの道]
旅行社でツアーを申し込めば意外に安い値段でホテルまでバスが迎えに来てくれて日本語の案内はないがガイド付きのツアーに参加できるのだが、朝の天気をみてから路線バスで行く自分流の旅の方をチョイスした。

あらかじめセントロに出た時にバスターミナルで貰っておいた時刻表と案内書で調べると、ジブラルタル行きというバスはそもそもない。ジブラルタルへは隣接したスペイン側の町、ラ・リネア(正確にはLa Línea de la Concepción)に行き、徒歩で入国することになるらしい。ラ・リネアへは平日4本(日曜は5本)、片道約2時間、8ユーロ強と書かれている。最も早いバスはフエンヒローラ発8時でちょっと早すぎる。次の11時丁度のバスに目星を付け天気の良さそうな日を待った。

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フエンヒローラのバスターミナルで手に入れておいた時刻表。Portilloというバス会社のもの。

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時刻表によると路線バスはジブラルタルに隣接したスペイン側の町、ラ・リネア(La Línea)に行く。平日は1日4本。


[ジブラルタルへ、路線バスの旅]
旅行日和はすぐにやってきた。コスタデルソルの4月は春から夏への季節の変り目で大西洋から東進してくる低気圧の影響を受け天候不順の日があるが今年も中旬後半がそうだった。しかしそれが落ち着いてきたある日、まずまずの晴れた朝を迎えた。テレビの予報を見ると一日通して悪くなさそうだ。遅めの朝食をすませ11時のバスに合わせてターミナルに向かった。

フエンヒローラの昔はずっと地中海沿いのひっそりした一漁村にすぎなかったが、60年代以降リゾートの町として急激に発展し、今では往時の10倍の人口5万人を超えているのにバスターミナルだけは昔のままのようだ。公道の片側をバス乗り場にしていてとてもターミナルとは言えない状況だが、ひっきりなしに入ってくるバスの行先を気にしながら待っていると、11時をちょっと回った頃バスの前面に「 La Línea 」を表示したバスが入ってきた。これに違いないと思いながらも降りてきた車掌兼運転手のおじさんに行先を告げて間違いないことを確認し窓口で買った切符を渡して乗車。

バスはマラガ始発で既に車内は1/3ぐらい埋まっていたが、運転手のすぐ後ろが空いている。この席、眺望は良いのだがもし追突すれば運転手の頭上を越えてフロントガラスまですっ飛んでいきそうだ。でも前方の展望が開けているのはロマンスカーの先頭席みたいなもので楽しそうだ。幸いシートベルトも付いていたのでしっかり身体を止め万が一に備えた。

路線バスとはいえ乗客は観光客が大半のようだ。
バスは海岸沿いを西に向かって高速A-7号線をひた走る。路線バスにしては途中の停留所はそんなに多くはないのだが、マルベージャやエステポナ(Estepona)などの乗換えのある町では一旦高速を出て市内のバスターミナルまで行き、一休みしてまた高速に戻るので結構時間は食う。

道路標識にアルヘシラス(Argeciras)まであと10kmの表示が出た頃、例の尖がった岩山が左手に見え出しバスは高速を出た。結局、ラ・リネアに着いたのは12時40分、フエンヒローラからほぼ100km、約1時間40分で到着した。



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バスはマルベージャを過ぎてそろそろエステポナだ。地中海に並行した幹線のA-7号線は片側三車線の高速道路だがうらやましいことにフリーウェイだ。(座席から運転手の頭越しに撮ったショット)



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バスはコスタ デル ソル西端部のリゾートの町、エステポナで市内に入り海に近いバスターミナルに寄る。現在も開発が続いている新興のリゾートだが海岸沿いの遊歩道はかなりの部分整備されていた。(バス車窓から)


[国境のある町、ラ・リネア]
終点ラ・リネアの町は地図でみるとジブラルタル空港と接していてどこに国境線があるのかよく分からない。街もジブラルタルと一体となっていて昼間はジブラルタル側で仕事をしている人口もかなりにのぼるらしい。
バスターミナルでトイレなどに寄ってモタモタしていたら、降りた客はもうどこかに消えてしまっている。観光客風の後を追えばジブラルタルに入国する道が自然とわかるだろうと思っていたのだが、どっちへ歩いていけばいいのか分からない。でも外へ出ると「ターリクの山」が見えたのでそっちに向かって進んでみた。
5分も歩くと広い道路に出てその先にパスポートコントロール(国境検問所)があるのが分かってホッとする。

案内書によるとジブラルタルの通貨はジブラルタルポンド(英ポンドと等価)。入国したらユーロの交換率が悪いと聞いていたのでゲートの近くに並んでいる両替屋の一軒で昼飯と観光費用相当のポンドを購入しておいた。

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バスターミナルを出てジブラルタルのパスポートコントロールのありそうな方向に進む。目安は「ターリクの山」だ。


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ジブラルタルのパスポートコントロールの手前に外貨の両替屋が何軒か並んでいる。ジブラルタルに入れば基本はポンド(£)、ユーロが使えないわけではないが、交換率は悪い。


[いよいよ入国]
陸路の国境越えとはいえ、それなりに構えて並んだ検問所だったが、何のこともなく係官がチラリとパスポートに目を通しただけ、スタンプも押してくれない。歩いて渡る国境には何の感慨もわかなかった。
でも軍事基地なら写真撮影はうるさいのではと思い、出口あたりにいた女性の係官に確かめると「No Problem」の一言。拍子抜けする。
 
コントロールの建物を出ると舗装された広い平面に白線を引いた道路が続いている、というより滑走路状の中を道路が突っ切っている。だから一旦緩急があれば道路に遮断機を下ろして閉鎖、滑走路にするらしい。今では軍事使用はそれほど多くないようだが、イギリス本国からの観光客を乗せた民間機の発着にも使われているようだ。


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検問所を出ると右側の壁に「Winston Churchill Avenue」の標識が見える。この道路は「ウィンストン チャーチル 大通り」というらしい。


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ラ・リネアから入ってくる幹線道路(「Winston Churchill Avenue」)
、ここを通ってジブラルタルの街に入っていく。さすが英領、ダブルデッカーが走っている。


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「ターリクの山」のすぐ下は飛行場のエプロンや滑走路になっており、その中をラ・リネアとジブラルタルをつなぐ道路が横切っている。


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もう一枚滑走路の写真。いくら見ても飛行機の姿は見えない。



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