12.地中海性気候
[コスタ・デル・ソルの天候]
コスタ・デル・ソルに魅せられている大きな理由はあのカラッとした快適な天気だ。多分ヨーロッパ人に人気があるのも温暖で湿気のない気候を評価してのことだろう。当然のことながらヨーロッパも緯度が上がるとより冷たく、寒く、所によっては長い陰鬱な季節を過ごさざるを得ないのだから、彼等が陽光眩しい南欧の地中海沿岸に憧れるのは我々以上かも知れない。若干オーバーとはいえこの地は年間325日が晴天と言われる土地柄、いつ訪れても青い空と海が待っているというのは大変な魅力に違いない。
これがコスタ・デル・ソルの青い空と碧い海。ボーッと眺めているだけでも飽きることがない。週末になると地元の若者だろうか、マリンスポーツに興じる姿も見られる。(トレモリーノスの海岸で)
今回実質28日間現地に居て晴れ以上の好天は17日(約6割)、一日中雨勝ちだったのが3日(約1割)、残りは日も射すが曇勝ちな日(そのうち俄か雨もあった日が3日)だった。
3~5月は春から夏への季節の変り目で天気は安定しないというがそれでもこんなものだ。
気温はどの程度か。晴天の日、直射の下でベランダなどで読書をしていても10分と我慢ができないほど日は強い。もっとも湿度が低いので室内に戻るとすぐにヒンヤリするが。
恐らくこの時期(4月下旬前後)でも快晴の午後などは30度になっていたかも知れない。さらに真夏ともなると日中の太陽の強さは並大抵ではなく、炎天下に外にでるのは無謀といわれるほどらしい。
従って、せめて13時から16時ぐらいまではゆっくり昼食をとって涼しい屋内でゆっくりする、それが自然に合わせた合理的な行動であって昔からあるシエスタ(siesta、昼寝)の習慣も気候風土に照らせば至極当然なことになるのだろう。(もっとも最近は大都市を中心に残念ながら崩れつつあると聞くが・・・)
一方で冷たい雨の日もあったが、そんな日は上着がほしくなり最高気温でも15度に届かなかったかも知れない。また、日の出が遅いので朝方は風が冷たくて気温がなかなか上がらないのだが、逆に午後は遅い日没まで下がらず夜の9時、10時でも昼間の暖かさが残って程よい気温が続くことが多かった。
穏やかな地中海の黄昏時。これでちょうど21時頃、まだ昼間の暖かさが残っている。淡い真珠色(?)のような暮色はあまり日本では見かけない。(レストランの窓側の席から、トレモリーノスにて)
日本に戻ってからこの辺の気候について資料をあたってみると以下のマラガのデータを見つけた。
マラガの月別気温ほか
月別 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
平均最高気温(℃) | 16.6 | 17.7 | 19.1 | 20.9 | 23.8 | 27.3 | 29.9 | 30.3 | 27.9 | 23.7 | 19.9 | 17.4 |
平均最低気温(℃) | 7.3 | 7.9 | 9 | 10.4 | 13.4 | 17.1 | 19.7 | 20.5 | 18.2 | 14.3 | 10.8 | 8.4 |
降雨量(mm) | 81 | 55 | 49 | 41 | 25 | 12 | 2 | 6 | 16 | 56 | 95 | 88 |
降水日数(日) | 8 | 6 | 6 | 7 | 5 | 2 | 1 | 1 | 2 | 6 | 7 | 8 |
大体想像していたとおりだが、今回滞在した4月、5月の気温は日本と大差はないものの大きく違うのは降雨量だ。東京と比べて、4月は1/3、5月は1/5というレベルだからやっぱり天気は良い所と言えるだろう。また、降水日数を合計すると年間59日になるが、すべての日が朝から晩まで雨ということはないだろうから年間325日が晴れといっても満更ウソではない。
フエンヒローラから山に向かってバスで20分も行くと白い村で有名なミハス(Mijas)に着く。その中でも撮影スポットとして有名な「San Sebastian通り」がこれ。天気が良く空気が澄んでいるので馬鹿チョン(?)のデジカメでもよく撮れる。日射しが強いので明と暗、光と影のコントラストが強烈だ。
同じくMijasの有名展望スポットから地中海を望む。海岸沿いに拡がる町がフエンヒローラ。
[ケッペンの気候区分]
昔、中学か高校の頃、地理の時間に”ケッペンの気候区分”というのが出てきた。ドイツのケッペン(W. P. Köppen)という気候学者が世界の気候を気温と降水量で区分したものだが、副読本の地図帳に色分けされ記号が付された世界の気候区分地図が載っていた。当時、外国へ行くなどということは夢物語の時代だったから遠い外国の気候を想像するのはそれなりに楽しかった記憶がある。
[地中海性気候]
さて、その中に”Cs”という区分があって地中海沿岸部、北米大陸西岸、アフリカ南端、南米大陸の中緯度地帯などが同じ色になっている。これが「地中海性気候」である。Cは温帯、Sは夏乾燥、冬多雨という意味のようで、最暖月の平均気温が22℃を超えるとCsa(オリーブ気候という)、超えない地域はCsbとさらに細分化されている。コスタ・デル・ソルあたりは典型的なCsaのようだ。
「地中海性気候」の特徴は、
・ 地中海沿岸をはじめとする中緯度の大陸西岸に分布。
・ 冬に一定の降雨があるが、夏は日ざしが強く乾燥する。(年間降雨量600mm程度)
・ 土壌は石灰岩の風化によってできたテラロッサが広く分布、乾燥に強いオリーブや、ブドウ
などの果実、柑橘類などの栽培、牧畜が広く行われている。
・ この気候区は、夏は乾燥してまばゆい太陽が輝くことから太陽に恵まれない地域の人々の
保養地になっている場合も多い。
と説明されており、この気候区に入る主な都市はローマ、アテネ、カサブランカ、イスタンブール、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンティアゴ、パース、ケープタウンなどが知られている。
東京でも5月や10月に年間を通じて数日、安定した晴天でサラッとした快適な日があるが、あの天気が連日続くようなものだ。
青い空に白い雲、そして碧い海にさわやかな空気、太陽の恵みを一杯に受けてリゾートの条件を100%満たしている。画面右端はマラガの町になる。(トレモリーノスの海岸遊歩道で)
このように見てくると、コスタ・デル・ソルを訪れるのにベストな時期は、気候が安定してそんなに暑くない5月から6月頃、または10月あたりのようだ。真夏の7~9月は天気は良いのだが少し暑すぎるし、夏休みになって国内は勿論、ヨーロッパ全域から押しかけるバカンス客で混雑するうえ、ホテル代が2~3倍になることを覚悟しておく必要がある。冬は比較的空いているようで避寒が目的ならそれはそれで悪くないようだ。いずれにしても、地球温暖化のせいか異常気象が頻発する昨今だが、遠い日本から行った時は快適な「地中海性気候」に当たってほしいものだ。
ホントに気持ちのよい気候ですよね。
確かに夏は暑いですが、日本のようにジメっとしていないので爽快感があります。
Siestaの後、夕暮れに軽くシャワーを浴びた後でバルコニーに出で飲むCervezaは最高!
私が暮らしていたカタルーニャ地方でも、夏は本当に心地よく過ごしたのを覚えています。
同じ地中海性気候ですが、南のほうとはまた違った季節感が感じられます。
寒がりの私には、湿気の多い冬がかなり応えたのですが、ピレネー山脈のほうに行けばそこはもうスキー天国!
「ここもスペイン?」と思わされる“いわゆるスペインのイメージ”とは違った景色に遭遇したのを覚えています。
気候ひとつとっても奥が深い国ですよね。
by moreno (2008-01-02 10:37)