11.現地の生活物価は?
[生活物価は高いのか?]
最近のユーロ高でヨーロッパの物価は円に換算すると本当に高い。
ロンドンの地下鉄の初乗りが4ポンド(殆ど1000円)だと聞くし、今回もパリで乗り継ぎの合間に立ち寄る空港内のカフェなどでコーヒーに小さいサンドイッチを頼んだだけでこれも1000円では足りない。一時の1ユーロ130円台の頃と比べると為替だけで2割は上がっているから何ともしょうがないのだが・・・
その点スペインは英仏独や税金の高い北欧の国々に比べると幾らかマシかも知れない。それでもペセタからユーロに変わった2002年以降は何でも高くなったと言われ、大都会ほど物価高のようだし、国際的観光地もそれに続く。その意味でここコスタ・デル・ソルもスペイン国内では物価の高い部類に入るのだろう。
所詮、遊びの旅だから細かいことは言うなと言われればそれまでだが、現地での生活を前提とする滞在型の場合はそこでの生活コストがどの程度なのか気になるところではある。ということでコスタ・デル・ソルの物価水準を知る手がかりとしてスーパーでの物の値段を紹介してみる。
[食材の購入]
現地で過ごした約1ヶ月の間、毎食外食とはいかない。ミニキッチン付きのアパートメントホテルにいたので簡単な食事の食材を求めて買物にはよく出た。勿論それ自体が旅の楽しみの一つでもあったのだが。
街が観光地で比較的新しいせいか昔流の八百屋や魚屋といった店は、特に旅行者には目につかず、市場(Mercado)も街の中心部にしかない。それに日本のようなコンビニはないので買物はスーパーにならざるを得ない。恐らく近年になって急激にスーパーが増えているようで町のはずれになる泊まったホテルのそばにも新しいショッピングセンターがあり、その一角は大きなスーパーになっていた。
きれいに並べられたスーパー内の果物コーナー、パック売りもあるが量り売りもある。
もも肉(と思う)のハムが並ぶ。さすがに日本では見られない光景だ。値段書きには売り出しでキロ約10ユーロ(1,600円)とある。
缶ビールの棚、右手前はハイネケン(?)。
アルコール類の棚の一部。ワインの値段はピンキリだが全体に思ったほど安くはない。
スーパーでもらったレシート(今となっては印字が薄れたり消えてしまったりしてハッキリしないものが多い。)が何枚か残っていたので解読を試みた。残念ながら、レシートには内容量までは記載されていない場合が多く単純に値段の比較はできない。それでも量のハッキリしているものを中心に推測した部分も含めて以下に並べてみる。ユーロ(€)は1€=160円で換算。
[購入品の一例]
・水(Agua mineral)1.5L 0.41~0.47€ 70~ 80円
・牛乳(Leche fresca)1.0L 0.75~0.79€ 120~130円
・オレンジジュース(Zumo de naranja)1L 1.42~1.75€ 230~280円
・卵 (Huevo) 半ダース 0.75€ 120円
・ヨーグルト(Yogur plátano)4個 0.95€ 150円
・バター(Mantequilla)半ポンド(?) 1.61€ 260円
・パン各種(Pan de sojaほか) 1.09€± 170円± (値段もいろいろ)
・米(Arroz)1kg(?) 0.49€ 80円 (中粒種)
・シリアル(Cereal)1箱 1.80€ 290円
・ビスケット(Galleta)1箱 0.90€ 140円
・バナナ(Banana)1房 1.16€ 190円
・みかん(Mandarina)1kg 1.89€ 300円
・りんご(Manzana)0.45kg 1.20€ 190円 (日本のFujiが2個)
・オレンジ(Naranja mesa)1.15kg 2.12€ 340円 (3個)
・トマト(Tomate)4個 1.16€ 190円
・落花生(Cacahuete) 1.00€ 160円 (かなりの量)
・国産ビール(Cerveza)350mL 0.44€ 70円 (San Miguel)
・輸入ビ-ル(Cerveza)350mL 0.67€ 110円 (Budweiser)
・赤ワイン(Vino tinto)1本 7.99€ 1,280円 (Rioja産のReserva)
・赤ワイン(Vino tinto)1本 6.95€ 1,110円 (Rioja産のCrianza)
・スモークサーモン(Salmón ahumado)200g? 3.15€ 500円 (輸入もの?)
・カマンベールチーズ(Camembert) 1.99€ 320円 (ドイツ産)
・プロセスチーズ(Quesos)200g 1.75€ 280円 (秤売り)
・生ハム(Jamón)200g 3.37€ 540円 (秤売り)
・カルパス(Salchichón Ibe.)1本 2.60€ 420円
・ツナフレーク缶(Atún)4缶 1.60€ 260円
・板チョコ(Chocol leche)大1枚 0.93€ 150円
・コーヒー粉(Café molino)500g 1.37€ 220円
・紙ナプキン(Servilletas)1袋 0.85€ 140円
・シャンプー(Champú Pantene) 3.75€ 600円
今回は買わなかったが、鮮魚売場もある。値段はそれほど安くはないようだ。
えびも各種並び貝類もいろいろだ。
[まだ基本的な生活物価は低いが・・・]
こうやって並べて眺めてみると基礎食料品などは日本よりかなり安いものもある。物価が高いのか安いのか、結局のところ主観的にならざるを得ないが、少なくとも生活のベースになる食料品などの部分は日本よりはまだ安いかも知れない。調理を厭わないなら安いコストで本格的な自炊も十分可能だ。
また、前掲の価格には内税方式でIVA(付加価値税、日本の消費税)が含まれている。スペインの税率は16%(標準税率)で、これでもヨーロッパの中では最も低い税率の部類に入る。さらに軽減税率として7%、4%、0%がある。軽減税率の適用品目について説明能力はないが、毎日食するような主食や副食は低めの税率が適用されているようだ。
ところで、スペインでは1992年のバルセロナオリンピックやセビージャ万博あたりから、大都市、リゾート地を中心とした不動産価格の高騰がひどくなったようでそれが物価上昇にも影響を与えているはずだ。マラガから電車に乗ってフエンヒローラに向かうと延々と続く開発ラッシュの現場を電車の窓越しに見ることができるが、こんなに別荘風、コンドミニアム風の建物を造って一体誰が買うのか、本当にさばけるのかと余計な心配をしてしまう。今がピークかも知れないが、この状況はこの辺りだけでなくコスタ・デル・ソル全体は勿論、全国に拡がっているはずだ。
ペセタ時代にはこの辺のリゾートでも1千万円も出せば日本でいうマンション1戸は楽々買えたが今では及びもつかないという話を読んだことがある。
リゾート地での開発現場の一例。海岸からかなり上った斜面地に道路を入れて造成し、一つの街を建設しているケース。写真上部は地中海。(フエンヒローラとトレモリーノスの中間にあって現在急速に開発されているベナルマデナ(Benalmadena)の町で乗ったロープウェーから)
別荘風住宅が延々と連なっている。(ベナルマデナ(Benalmadena)の町で乗ったロープウェーから)
近年、スペイン経済は好調で経済成長率はEC各国の中でも高い方だが、その分インフレ率も高い。
先日の新聞で、2008年(予測)のユーロ圏13カ国の実質成長率が2.2%、その中でスペインが主要国ではトップの3.0%、一方、物価上昇も全体の2.1%に対しスペインが2.9%で断トツという記事(EC委)をみた。もともとスペインは英独仏に比べれば所得レベルで一段下なので少しずつ差を縮めているということにもなるが、物価も確実に上昇しているというわけだ。
今回、わずかの期間だが現地で生活してみて、確かに基本的な食材などは安いが、レストランの価格などを想うと日本と比べてどうかなと首をひねる。鉄道・バスなどの公共料金もまだ高いとは思わないが、人件費がからむサービス料は安くはない気もする。ユーロ高、インフレの昂進、不動産価格の高騰、所得の上昇などが続けば今後の生活物価の上昇は避けられないだろう。
スペインのSuperの様子、久しぶりに見た気がします。
スペインで主婦をやっていたときは、当然毎日通っていたので、すごくなつかしいです。
海岸付近の町では、やはり魚介類も新鮮です。
私はよく、いけつけのSuperの魚売り場のおばちゃんに頼んで、Atun(まぐろ)などをお刺身用に切ってもらったりしていました。
そのうちおばちゃんも、「今日は○○が新鮮だからとっておいたよ」などと、Pescado crudoを食するヘンな日本人に親切にしてくれるようになったり。。。
こんな経験も、スペイン生活の醍醐味のひとつですよね!
by moreno (2007-11-24 08:39)