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8.アフリカに渡る!(1)

[ツアーの申し込み]
後半2週間の宿も確保しフエンヒローラでの生活にも慣れてきた。4月中旬のコスタ・デル・ソルの天気は春から夏への季節の変り目に当たるらしく天気は落ち着かない。これぞコスタ・デル・ソルの天気という気持の良いカラッと晴れる日があるかと思えば、気温が下がってシブくような雨が朝から降る日もあった。寒い日は多分、最高気温が15~16℃ぐらいしかなかったのではないかと思う。

そんな中、先日から世話になっている旅行社で次週火曜日(5日先)のタンジール(Tanger)へのツアーを申し込んだ。タンジールは地中海を挟んだ対岸の国モロッコの町だ。その場で一人当たり52ユーロを払う。わずか8千円で日帰りながらタンジールを観て来れるとはめっけものだ。旅行社のヘマさんからは「当日は朝6時にバスがホテルに迎えに行くので必ずロビーで待機すること。ガイドにはこの券を渡すように」と言って領収書兼クーポン券を渡された。


旅のルートは右上隅のFuengirolaをバスで出発→Marbella(27km)→Estepona(53km)→Algeciras(97km)→Tarifa(126km)まで地中海沿いを西進し、ここからフェリーでジブラルタル海峡をTanger(158km)に渡る。( )の数字はフエンヒローラからの累計距離。

[出発の朝]
さて、ツアー当日は目覚ましで5時に起床。眠いながらも残っていたクラッカーにコーヒーを啜って朝食ということにする。いつも外出するときはパスポート(本物)は持たず、コピーを携帯していたが、今日は別の国に行くのだから本物を持つことにする。(冷静に考えれば当たり前のことだが)
本当に6時にバスが迎えに来るか気にしつつも10分前に下のロビーに降りる。こちらの6時はまだ真っ暗、8時ぐらいにならないと明るくならない。しかも夜明け前だから結構寒くて長袖シャツの上からウィンドブレーカーでも被らないと我慢できない。ロビーにはフロント以外誰も居ない。ということは(このホテルから)このツアーに参加するのは我々だけだ。

6時を5分回った頃大型の観光バスがホテルの前に停まった。小走りで降りてきたのは頭の禿げ上がったかなり年配で大柄な男。彼がガイドに違いないと思い、こちらもすぐに例のクーポン券を見せる。と案の定「パスポートを持ってきたか?」と真っ先に訊かれる。持ってきた旨答えると「Muy Bien!(結構!)」と言いながらバスに乗るよう指差しする。やっぱりパスポートを持ってこない客がたまにいるのだろう。
それはさておき、彼はこちらが東洋人だったので一瞬びっくりしたらしく、「日本語はしゃべれないよ」と言いながら言葉が通じるか心配している風だ。

[ツアーガイドの説明聞き取れず]
バスに乗り込むと既に15人ぐらいか、前方の座席を占めていた。どこで何時ごろ乗ったのだろうか?「Buenos dias!(おはよう!)」と挨拶しながら通路を進むと、彼等からも挨拶が返ってきた。
我々を拾った後もいろいろなホテルに寄って予約した客をピックアップしていく。バスはマルベージャ方面に向かっているが、ホテルは幹線の高速道に面しているわけではないのでいちいち側道に出て目的のホテルまで行き、客を拾って幹線に戻るという繰り返しで時間がかかる。それでもマルベージャを過ぎると当初余裕があった座席も殆ど満席になった。50人ぐらいになっただろうか。

外はうっすらと明るくなり時計は7時半を指している。バスはエステポナ(Estepona)を過ぎたあたりを快走中。頃を見計らっていたのか、ガイドの親父がマイクを持って何やら説明を始めた。最初はスペイン語で、その後はフランス語、そして英語で同じ話を3回しているようだ。後で分かってくるのだが、このツアーはフランス人のグループが約半分、あとは英語圏、独語圏で地元のスペイン人は意外と少ない。勿論日本人は我々だけだ。彼の話はとにかく早口で殆ど聞き取れない。バスに乗るときにガイドが心配していた展開になってきた。

当初話している内容は今日の大まかなスケジュール、タンジールの見所などらしいので適当に流していたが、話は出入国の手順・手続になり注意事項などを含め入念に話し出した。いくら聞き耳を立てても1/3も分かるかどうかだ。どうも自分は出入国審査で一人ひとりの世話はできない、よって審査ゲートを出たところのどこそこで待っているので迷子にならないようにてなことを言っているらしい。まあ何とかなるだろうと思いつつも一抹の不安を感じていると彼はこう付け加えた。「これから配る(ペタンコ)シールを人に見えるよう服の胸あたりに貼り付けること。そうすればパスポートより威力(?)を発揮するはずだ。」ぐらいのことを言っているらしい。配られたシールは、4×7cmぐらいの単なる緑色の紙切れで「Costa Africa S.L.」とツアー催行会社の名前が書かれているだけで裏にノリがついている。要するに迷子になってもこのシールを見ればどこのツアーか分かるから何とかなるということらしい。実際、フェリーの乗船・下船時、タンジールの旧市街(メディナ)の雑踏の中で緑色のシールを付けた仲間を確認し合うことで大いに助かったのは事実である。

[一路、港町タリファ(Tarifa)へ]
時刻は8時も回って完全に明るくなってきた。どうやらアルヘシーラス(Algeciras)を通り過ぎたのでバスはタリファ(Tarifa)に向かっているようだ。(前掲の地図を参照願いたい) と言うのは、アフリカに渡るフェリーはこの2つの港町から出ているがアルヘシーラスの方が大きな港でタンジール行きのほか、セウタ(Ceuta、アフリカ側にあるスペイン領の飛び地の町)にも便が出ている。ただタンジールへはタリファからの方が近く(約30キロ強)、1時間で行ける。

もうすぐタリファというあたりで一大風力発電所(ウィンド ファーム)を通る。このあたりは地中海に面していていつも風の強い所なのだろう。最近、テレビか何かの雑誌でその景色を見た記憶があるが、結構きつい丘陵地の尾根という尾根に風力発電のタワーが林立している様は壮観で100基をはるかに超える規模に見える。


タリファ手前の丘陵地に並ぶ風力発電機(バスの車窓から)。風力発電の導入規模ではスペインは世界有数で、2010年の発電量を現状倍増の約2000万kwにするそうだ。因みに、日本の2010年目標は300万kw。

[出国審査そして乗船]
バスは8時半頃タリファの町に入った。所々に石積みの砦か城塞が残っている小じんまりした町だが海上交通の要衝としてローマ時代以前からの古い歴史があるのだろう。今回偶然ネットで知るに及んだのだが、英語のTariff (関税)という単語の語源は、かってのイスラム時代、ジブラルタル海峡を通過する船舶から通行税を徴収していたこのタリファという町名に由来しているとのことだという。

バスを降りてすぐ乗船手続をするターミナルビル(税関?)に入る。中には朝食が取れるカフェテリアもあったが、出航時刻も迫っていて我々のグループ以外のツアー観光客や地元周辺の商用の乗客などでごった返している。ここは早速緑色の同胞(?)のシ-ルを目印にハグれないよう出国審査に進む。審査はパスポートに船のマークの入ったスタンプが押されただけだったが、これでEU圏から出国したことを意味するのだろう。建物を出るとすぐ先にフェリーが見え、皆適宜後ろのパックリ開いている車の乗り口から乗船している。そういえば船のキップが渡されていないことに気が付いたが、何のチェックもなく乗り込んでしまった。


出国手続を済ませて建物を出るとこれから乗るフェリーが。(Tarifaの港で)


出帆直前の後方甲板で。


フェリーの船内。1階後方の船室。前方のラウンジ風船室に行く乗客が多くここは空いていた。

[さあ出帆!]
出港は9時のようだ。フェリーは5~6千トンぐらいだろうか、結構大きい。船室は1階と2階にありどこでも自由に座れる。個室はないようだがグループ用のラウンジ様の座席、個人用の座席、それに軽食コーナーなどあって日本のフェリーと大して変わらない。
改めて乗客を眺めると確かに外国人観光客も多いが、一見してアラブ系で当地に根を下ろしている人達も目に付く。約1時間で渡れるので日常的に商売その他で行き来している人も沢山いるに違いない。大げさなドラや汽笛もなく9時過ぎフェリーは岸壁を離れた。


甲板から見るタリファの町。よく見ると後方の山の尾根沿いに風力発電機が並んでいる。


タリファ港を出るフェリーから。だんだん小さくなるタリファの町。






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