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1.新たな旅のはじまり

快晴のパリを30分遅れで飛び立ったBoeing737機は安定した飛行を続けていたが、いよいよ目的地に近づいてきたのか機首を下げ始めた。そして厚い雲に突っ込んでしばらくすると雲の合間に所々岩山が露出し潅木と草原の緑で覆われた斜面が迫ってきた。雲は低く垂れ込めていて雨が降っているのだろうか、もう高度は500mを切っているだろう。さらに高度を下げた飛行機は、手慣れた感じでスペインは「コスタ・デル・ソル」(Costa del Sol)の中心地、マラガ空港(Aeropuerto de Málaga) に着陸した。

 乗り継ぎのパリのシャルルドゴール空港を発って2時間半、現地時間07年4月12日木曜日、13時半の到着だ。日本時間では時差7時間(当地は3月末から既に夏時間)を加えて12日の20時半ということになる。昨夜、成田を22時に発ったので22時間半かかった勘定だ。これは日本出発を夜便にしてマラガ到着を昼間の良い時間帯にしたかったのでパリで6時間も空港で時間調整していたためで、最早便を選べばもっと短縮は可能だ。この辺はフライトスケジュールを自分で組み立てたから自在にできたことではあるのだが。

ところで、成田出発時沢山いた同胞(?)もパリからヨーロッパ各地に散ってしまったのだろうか、マラガ行きは満席だったにもかかわらず日本人はおろか東洋人は我々だけだった。いよいよ異国の地に来たなという感を強くする。でも周りのヨーロッパ人は特に気にかける風もなく居心地は悪くない、やはり"大人の国"に来ているということなのだろうか。

 

“マラガ空港ではパリをスルーした荷物は別のターンテーブルから出るから注意すること“という情報をネットで読んでいたお蔭で、最初から大半の乗客が待つターンテーブルとは別のガラス張りで仕切られた別室のターンテーブルを見張っていたら案の定そちらから出てきた。結局何のcheckもなくあっけなく荷物を手にすることができて拍子抜け。どうもパリで新規に預けられた荷物と乗り継ぎ客の荷物は別々の場所から出しているらしい。といってスルーの荷物を別途検査するわけでもない。出発空港での検査を尊重するルールになっているということだろうか。そういえば去年もコペンハーゲン経由でマドリーに入った時荷物はno-checkで受け取ったことを思い出す。

「コスタ・デル・ソル」の見取り図。マラガ(Málaga)を中心に東西300kmの地中海沿岸を一般にコスタ・デル・ソルと呼んでいる。

「マラガーフエンヒローラ(Fuengirola)拡大図」。マラガ空港はマラガとトレモリーノス(Torremolinos)の間にある。マラガーフエンヒローラ間、約30kmに近郊線と呼んでいる電車が走っていて19駅を約50分で結んでいる。

さて、時間もたっぷりあり急ぐ旅でもないので予約したホテルがある町、フエンヒローラ(Fuengirola)へは電車で行くことにする(上の見取り図を参照願いたい)。ネット情報では空港ターミナルからそんなに遠くないところにスペイン国鉄の「近郊線」と呼んでいる路線(セルカニアー1(Cercanías-1))の「空港駅」があるはずである。

大きな荷物を引きずって案内板に従ってターミナルビルを出ると意外にも蒸し暑く雨が降っている。この湿気はなんだ!カラっとした地中海性気候が売物の「コスタ・デル・ソル」ではなかったのか、話が違うではないか・・・と文句を言ってもしょうがないが、傘を差しつつ標示に従って駅に向かう。しかし、どうも駐車場を横切ったり工事中のような通路を通ったりして間違っているのではないかと不安にさせる。まあ違っていれば戻ればいいかと思い、それでも駅に向かっていそうな人の後に付いていくと前方に駅のホームらしいものが見えてきてほっとする。後でわかったのだが、この空港は現在、規模を倍にする拡張工事中で連絡路は仮のものだったらしい。でも、帰国する時に乗ったタクシーの運ちゃんに聞いたら「完成は7年後と聞いているけど、さらに2~3年は遅れると思うよ。」と言っていたので当分このままかも知れない。

 

「空港駅(Aeropueto)」のホームと入ってきた電車。6時ごろから23時すぎまで30分に1本。

駅は無人駅で切符は券売機でということらしい。しかしその券売機は初めてで仕組みがよく分からないうえに、野外にあるので画面が光って見にくい。思わず我々の前で買っていた地元(?)の中年男性に頼んだみたら親切にも買ってくれた。さらに、電車が着いて(ホームと車内との段差が40cmはある)重いカバンを車内に引き上げようとしたら乗客の若い男の子が軽々と引き入れてくれた。

現地滞在中はいろいろな場面で拙いスペイン語で街角のおまわりさんをはじめ、地元の人たちに道や行き方を尋ねたり、買物、レストランなどでも確認したり問いかけたりすることが何度となくあったが、総じて遠方からの旅行者(?)には皆さん親切だった。例外がないわけではないが、こちらの人たちは都会人と違ってまだまだ素朴、穏やかで親切に受け入れてくれる感じがする。これだけの国際的な観光地になるためにはこのくらいのホスピタリティはむべなるかなだろうが、なかなかできることではない。

さて、電車は地中海沿いに走り途中のリゾートの町に停まりながら約35分でフェンヒローラに着いた。この街には去年2~3時間だが寄ったことがあったので地下駅から地上に出るとその時の景色をすぐに思い出した。駅前でタクシーを拾い10分ほどで街の西はずれにある目当てのホテル(Apartamento Hotel Fuengirola Beach)に無事到着した。

フエンヒローラの町、町の西端にある古城の高台から。右側が地中海になる。

滞在したアパートメントホテル「Fuengirola Beach」(全156室)の南面。部屋は最上階の中央部だった。ホテル後方の平たい白い屋根はshopping center MIRAMARで中にスーパーがある。

このホテルは自宅からネットで取ったのだが予約控えは画面をプリントアウトしたコピー1枚だけ。正直なところ本当に大丈夫だろうかと日本出発前から半信半疑で気を揉んできたが、フロントのお嬢さんにコピーを見せパスポートを出すと明るくあっさりと「受けています。」と何のこともない。信用していなかったわけではないのだが内心の不安もこれで霧散霧消、本当にほっとした瞬間だった。

アパートメントホテルではベルボーイがいるわけではないので、渡されたカード式の鍵を持って自分で荷物を引張りエレベーターに乗る。日本のようにスムースでないエレベーターで実質7階の609号室へ。内部は思いの外広い1LDKで台所の設備、電器製品もキッチリ揃っている。これなら半月、いや1ヶ月でも生活するには問題無さそうだ。さて、時刻はまだ夕方5時前、とにかく飲み物、食べ物がなにも無い。さっきフロントで聞いたらスーパーはすぐそばにある大きなshopping centerの中にあるとのことだったので偵察も兼ね買物に出かける。

外に出るといつの間にか雨は上がっていたが夕方になって温度は下がってきたようだ。大きなスーパーでいろいろ見たかったのだが取りあえず最小限の食料品を仕入れ、部屋に戻って今日の長い一日を思い出しながら軽い夕食をすませる。とにかく腹も埋まり飲んだビールも効いてきてべッドへ。日はまだ高い(当地のこの時期は9時ごろまで明るい。)し体は疲れているのに気持は昂ぶっていて寝るような気分ではないが、無事ここまで辿り着いたという安堵感もあったのかあっさりと眠りについた。こうして一抹の不安を抱えて飛び出した旅行初日の大移動は大過なく(?)目的を達することができた。


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kenta-ok

今後の展開が楽しみです。
by kenta-ok (2007-07-08 11:28) 

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