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13.ビルバオ④ (ワイナリーの町、ラグアルディア) [15/9北スペイン]


 [ワインの里へ]

スペインワインと言えばリオハ産、ワイン店でスペインのワインを選ぶとき、ラベルに "Rioja" という産地名があればまず本格的な味が保証されていると言えるだろう。

今日はワイナリーの町、ラグアルディア(Laguardia)に行く予定だ。
ビルバオに着いた一昨日の夜、アバンドの観光案内所で教えてもらった町だが、スペインワインの名産地リオハ(Rioja)地方の真っ只中にある。

まずは9時少し前に宿を出て地下鉄でバスターミナルへ。切符売場で壁の時刻表をみると、ラグアルディアへはリオハ地方の中心都市ログローニョ(Logroño)行きに乗れば途中で通るらしいことが分かる。ちょうど具合よく10時発があり、その切符をゲット。

この旅に出る前はビルバオに行けばきっとワイナリー巡りの日帰りツアーに気軽に参加できるのではないかと思っていたが、観光案内所のアドバイスは路線バスでラグアルディアという町に行けばワイナリーを見学できるということだった。

後に日本に戻ってからネットでチェックすると、ビトリア(Vitoria)・ラグアルディア方面のワイナリーを巡る日帰りツアーの紹介があったから全くないわけでもない。ワイナリー自体は立派な観光資源のはずだからワイン観光がもっと気軽に楽しめる体制があってもいい気はするが、単にこちらの情報不足だけかも知れない。

何番線からバスが出るのか直前まではっきりせずバタバタしたが、とにかくログローニョ行きに乗車でき、10時の定時に出発した。





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ビルバオのバスターミナルの切符購入窓口。朝9時過ぎでまだ客はまばら。




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購入したラグアルディア行きの切符。枠内の上から出発地:ビルバオ、目的地:ラグアルディア、乗車日:15年9月10日、出発時刻:10時00分、座席:1号車15番、サービスタイプ:普通、基本税率:11.23%、運賃(税込み):12.35€、路線名:ビルバオーログローニョ線、 などと記載されている。




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バス乗り場へはひっきりなしにバスが入ってくる。




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15番線、16番線のバス乗り場。





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三々五々バスを待つ人たち。

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10時近くになって切符売り場の窓口も混んできた。




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出発時刻が近づきようやく乗るバスが入線してきた。




 [ラグアルディアへ]

 ラグアルディアはビルバオの南約80kmにあり、もう20km行けばログローニョだ
ビルバオを出るとすぐに街並みが切れ、車窓は緑の草原というか緩い緑の丘陵に変わった。生憎曇り空のうえ、窓には遮光シール(?)が張られていて見える景色はすべて青っぽい。

途中1時間ちょっと走ってビトリア(だと思う)で小休止、その後両側に拡がるブドウ畑を見ながらしばらく走り、小高い丘を登りきると城壁らしい黄土色の石壁の前で停まった。そこがラグアルディアのバス停、所要時間は1時間40分だった。

人口が
1500人ほどの小さな町で、”城砦”と”ワイン”で知られている。
ラグアルディアがある小高い丘は昔から地形的に戦略的価値があったようで、13世紀に築城された城壁は、南の”カスティージャ王国”に対峙する”ナバラ王国の番人(guarda de Navara)” と呼ばれてきた。

4つの城門(数え方によっては6つ)をもった城砦は19世紀の内戦時ひどく破壊されてしまったが、一部はまだ良い状態で残されている。

バス停は城壁に沿って外側にあり、城砦内部にある市街地へは最寄りの城門をくぐる必要がある。バス停そばのどっしりしたアーチ状の門を抜けると突然眼前に中世の石造りの街並みが現れ、一瞬にして数百年前の世界に迷い込んだ錯覚を覚えさせてくれる。

この町の見所は歴史的な史跡だけではない、もう一つの売りはワイン造りだ。
エブロ川の左岸流域でのブドウ栽培は、夏の南からの熱波と冬の北からの寒風を南北の山地が遮るという地理的、気候的な自然条件に恵まれ、それに地域が育んできた長い伝統が加わって美味しいリオハワインを造り出している。

まず向かったのはラグアルディアの観光案内所。見学できるワイナリーを教えてもらいに寄ってみた。結構混んでいたので順番がくるまでしばらく待ったが、カウンターのお嬢さんは街の案内図に見学させているワイナリーをマークして渡してくれた。

しかしここでちょっとした思い違いに気が付いた。教えてくれたのはいずれもこの中世の街中のもので、広々とした丘陵地に拡がるブドウ畑に囲まれたワイナリーのイメージとは違う、どうもこちらが勝手に思い込んでいたワイナリーではなくボデガ(醸造所)のようだ。

元々ぶどう畑はこの街の西から南方向に拡がる広大な低地にあり、現代の大きなワイナリーはその畑の中の施設でブドウ苗木の栽培から取り入れ・発酵・圧搾・樽熟成・ビン熟成、そして観光客を相手にする
レストランや土産店まで一貫した体制を取っている方式が一般的だ。




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バスの車窓(遮光シールが貼られていて写真は青味がかる)から。左手山頂部には石灰岩層が露出している。




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長閑なブドウ畑の丘陵が続く。

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途中でRioja Alavesa地方の「Arabako Errioxa」という集落を通過。

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ラグアルディア到着20分前あたりのぶどう畑。

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ラグアルディアに到着する手前で見えた街道沿いのワイナリーの施設。「BODEGAS Garcia de Olano」とあるが、レストランやワイン販売所もあるようだ。

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ラグアルディアのバス停。乗ってきたログローニョ行きのバスが停車中。左側が城砦で門をくぐれば中世そのままの市街に入る。

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城砦に沿ってカフェのテーブルが出ている。

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城砦をくぐる手前の壁に観光案内所の案内図があったのでまずはそちらに向かう。

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こちらは市街全図。




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観光案内所は結構人の出入りが多かった。



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担当者は一人で忙しそう。




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隣のスペースには恐らくラグアルディア産だろう、ワインのボトルが陳列されている。



  [中世の街中ワイナリー(ボデガ)]

城砦内の街は小じんまりしたもの。狭い小路で迷路状の街中は15分か20分もあればあらかた一回りできそうだ。マークを付けてもらったマップを頼りに小路の探索を始める。

後で読んだ資料によると、この街には昔は300以上の地下トンネルのボデガ(bodega:醸造所、地下の酒倉、ワインセラーなどの意)があったという。それらは数世紀に亘り地下の設備でブドウの破砕・発酵・圧搾・貯蔵等が行われていたほか、食料の保存倉庫としても使われていたというが、今でも操業しているのはほんの一握りらしい。

いくつか回った中で、「El Fabulista」というボデガが見学を受け付けていた。このボデガは醸造所の操業を続けながら観光見学も受け入れているようだ。
30分後の13時スタートで見学ツアーがあるというのでその場で申し込んだ(7€)。その際ガイドの言語を西語か英語か選択せよとのことだったので西語にしたのだが…


改めて13時に行ってみると10数人のグループと一緒にされてしまった。彼らは英国人(北スペインー英国間には定期フェリーもあり英国からの旅行者は珍しくない)らしく
英語をしゃべっていて必然的に英語によるガイドになってしまった。(まあどちらにしても大差はないが……)

まず入口の前で案内してくれた女性からこのボデガの概要、歴史(多分?)の説明があった後、建物の中へ。入った最初の部屋には実際の操業で使われている機械器具類が雑然と並べられていたが、反対側に漏斗状の四角いホッパーがあった。恐らく運び込まれたぶどうを投入し下底で破砕・圧搾する装置だろう。

その後狭い階段を降りて地下7mの暗いトンネルに案内された。地下の岩質は堅固で採掘が比較的容易な砂岩層ら
しく、一部のレンガ部分を除けば殆ど支えなしで何百年も保たれているのは驚きだ。
この地下空間で醸造作業や樽熟成が行われてきたのは、特段の設備なしで常に気温が12~14℃で年中一定していることが徹底的に重要とのことだった。




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こんな城壁内の景色は恐らく何世紀も変わってないのではないだろうか?






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狭い小路でもカフェは道路にテラス席を出している。





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歩いていると石壁に「カサ プリミシア」という表示があった。プレートによると15世紀の古いワイナリーの建物のようだ。



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ボデガ内部を見学させている「El Fabulista」。13時からの見学ツアーを申し込んだ。









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「El Fabulista 」の入り口前の看板。「会員ボデガ」、「Rioja Alavesa地方のワインルート」の表記のしたに見学ツアーの時刻が書かれている。平日は11:30,13:00、17:30、19:00の4回。




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「El Fabulista」のボデガの前で女性のガイドさんがこの醸造所の歴史などを説明。ツアーの参加者は英国人(?)らしく説明は英語だ。





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中に入ると右手に大きなホッパーがあった。収穫されたブドウが投入され地下で除梗・破砕が行われる。




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狭い階段を降りて地下7mのトンネル部分へ。





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地下にはかなり広めの部屋もあり、試飲できるスペースがあった。照明効果もあり面白い雰囲気だ。




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当ボデガ産ワインのテイスティングをしたが、とても苦かった記憶がある。




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英国人(?)ツアーの参加者。





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ツアーを終えて「El Fabulista」の前で。醸造所の殆どの施設は7m下にある延べ600㎡の地下空間にあり、その地下道は道路の下にも伸びているらしい。



 

  [さらに市街散策]

小1時間で見学ツアーを終了し、遅めの昼食にしようと今朝通った城門近くのレストランに入った。
例によって日替わり定食から選択したが、残念ながら塩味が濃くちょっと閉口した。今回の旅ではこんなことは初めてだったが、この店ではWi-Fiがつながったのでしばしスマホを楽しむことができた。

レストランを出て再び中世の時代を思い起こさせる街並みを散策する。
途中見学させているもう一つのボデガを見つけ、スペイン語の解説で真っ暗な地下のトンネルを歩いたが、地下はどこも同じに見える。

このボデガで記憶に残っているのはオーク樽やビンによる熟成期間の話だ。

スペインワインは一般に熟成期間の長さで品質分類されているのだが、ラベルにグラン レセルバ(Gran Reserva)の表示があれば最低14年経ているとのことで最高級品だ。

また、レセルバ(Reserva)の表示なら熟成期間は6年以上、期間のやや短いクリアンサ(Crianza)でも4年の熟成が必要とのことでそれぞれ十分に高い品質が保証されているわけだ。

再び街に戻り南側に進むとちょっとした展望台に出た。ようやく青空が出てきたものの、既に夕方が迫り日は傾いていたがこの町が高台にあることがよくわかる。

眼下にはエブロ川左岸の平地にブドウ畑が延々と拡がっていた。その大パノラマを眺めていると、これが "ワインの里、リオハ" であることが改めて納得できた。



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昼食で入ったレストラン。ここではWi-FiのIDを教えてもらいスマホが使えた。





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日替わり定食(Menú del día)を頼んだが、全体的に塩味が強くイマイチ。




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昼食後再び市街を散策する。




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どこの道を撮っても同じような写真になる。





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途中で一休みしたカフェ。バックの黄土色の石積みの壁がなかなか良い雰囲気だ。




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同上カフェ。



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どちらかというと暗っぱしい市街から南方向に向かうと家並みが途切れて眼前が開けた。町がある高台の下にはブドウ畑の景色が一面に広がった。



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夕方近くになって青空が出てきた。リオハの穏やかなブドウ畑の景色を目に焼き付けた。





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町の南側展望台からの眺望。現地に展示されていたパノラマ写真を撮影したもの、上の3枚の写真を横につなぐと実際のパノラマ写真になる。この町が丘陵地にあることが分かる。









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街の南側でサン フアン教会(Igresia de San Juan)の前に出た。写真はゴシック様式の鐘楼(canpanario)。地上部は城砦の門の一つで城外とつながっている。




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城門の横壁に次の標語が架かっていた。「辿りついた者には安息を、住民には健康を、旅立つ者には幸運を!」。





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城門をくぐって外に出るとバス停のある街道だった。




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ようやく帰りのバスが来た。BILBAO-LOGROÑO間は一日2往復しかないので要注意だ。




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車内はガラガラ。




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ラグアルディアを出て5分の車窓、もう20時だがまだ明るさが残っている。


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