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6.バルセロナ ⑥(サグラダ・ファミリア (2) 、サン・パウ病院ほか) [15/9北スペイン]


 [サグラダ・ファミリア聖堂のエレベーター]

エレベーターは1台で収容人員は10人位だから一気にはさばけない。列について順番がくるのを待つのみ。11時の予約だったが時間にはあまり拘らないようだ、ここはスペインだし。
乗れば一気に高さ60mあたりの終点まで連れていってくれる。

エレベーターを出たら展望台があるだろうと思っていたがそんなものはなく、前を行く人の背中を追って狭い一本道の通路を進むことになる。余裕のないまましばらく行くと必然的に下りのらせん階段に導かれてしまった。

後で読んだ情報によれば他のルートの選択もあったようだ。思い出してみると確かに狭い通路を通っている時、枝分かれする個所があったのは事実、そっちに行けば外に出れて別の景色を見ることもできたようだが今となっては後の祭り。まあ下りる途中で出窓というかテラスのようなところがいくつもあってそこからの展望が素晴らしかったのだから良しとしよう。

らせん階段は降り始め右回りの急こう配で大人一人がようやく通れる程度、なるほどエレベーターに乗る前に背中のザックや手荷物などはすべてロッカーに入れたほうがいいと言われたのは納得だ。それに実際下りてみて言えるのだが足腰に余裕がないと結構キツイし、高所・閉所恐怖症気味なら足がすくむ場面があるかも知れない。

らせん階段は約400段あり下りるだけでかなり消耗したが、建設時の苦労を思うと頭が下がる。下のフロアに戻ったら新たな感慨が湧いてきて改めて聖堂を見上げてしまった。退出は入場した「誕生の門」とは反対側にある「受難の門」から出た。

そろそろ昼食どき、午後はここから徒歩圏にある「サン・パウ病院」に行くので途中で食事処を探すことにした。


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エレベーターを降りて通路の出窓からまず見えた景色。聖堂部分の上部を飾っているフルーツのオブジェの彫刻群が見える。

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後ろを見上げると工事中の現場が。



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出窓から眺めるバロセロナの街(地中海方向)。弾丸のような独特の形で有名なバルセロナ水道局の高層ビル(トーレ・アグバール、38階建て)が見える。2005年完成、地元でのあだ名は「座薬」、よく言ったものだ。



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いよいよらせん階段の下りが始まる。



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らせん階段を降りている途中の出窓から見る市街北東方向。




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搭の上部にある果物(ぶどう?)のオブジェが間近に見える。その背後の建物は仮設の工事事務所・宿泊所か。




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ある出窓には奇妙な装飾が施されていた。




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見上げると大理石造りの重厚さに圧倒される。




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出窓から真下を見下ろすと足がすくむ。中央池の向こう側に人だかりが見えるが例の「撮影ポイント」だ。




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らせん階段の壁面(簡単に落書きできそうな大理石か石灰岩?)は落書きでびっしり。いつ誰が彫ったのか?建設時の作業員なら簡単だったかも!?




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らせん階段を下っている時に真下をのぞき込んで撮ったのだが面白い写真になった。手すりがあるとはいえ、この写真を見ているとまた目まいを起こしそう。前を降りている人の足元を見るだけで階段の狭さと急こう配が分かる。




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らせん階段が終わると突然視界が開け聖堂の平面が見えてくる。




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ステンドグラスから差し込む光が作りだす幻想的な空間を改めて見上げる。武骨とも見える外観からは想像し難い。



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「生誕の門」や「聖堂内部」の造形とはちょっと違う「受難の門」上部の彫刻群。キリスト磔刑の苦しみや悲しみを表現しているという。




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全体的にガウディの特徴的な曲線は見られずむしろ直線的な現代彫刻風だ。「受難の門」はガウディ没後に後継彫刻家が彫った部分だから当然かも知れない。



 [サグラダ・ファミリア聖堂→サン・パウ病院]

「サン・パウ病院」(Hospital de Sant Pau)は、サグラダ・ファミリア聖堂の北1kmちょっとのところにある。サグラダ・ファミリア聖堂から真北に延びるガウディ通り(Avinguda de Gaudí)の緩い坂道を上っていくと病院にぶつかるのだが、その手前で道沿いのレストランに入った。

昨日の昼飯と同じく中央分離帯にあるオープンレストランだ。ここで頼んだのはパスタの海鮮パエージ(Fideuá)、今まで機会があるようでいて食べた記憶のない料理だったが、想像していたとおりの味でまずまずだった。

レストランを出てガウディ通りから病院内に入ると、左右に袖を拡げたような病院棟が来院者を迎えてくれる。建設の指揮を執ったのは建築家 リュイス・ドメネク・イ・モンタネル。因みに、彼は若くして母校バロセロナ建築学校の教授になり、その教え子にはガウディがいた。さらに政治家としても活躍し地元の名士かつリーダーでもあった。

この病院は市内にあった6つの病院を統合する形で1902に着手、30年に完成しているが、14.5haの広大な敷地に48の建築物が立ち並ぶ大規模なものでおよそ病院らしくない豪華で芸術性の高い建物も多い。
各病棟間を地下廊下でつないで患者の移動を容易にしたり、地上部には患者の心を癒すゆったりした緑の空間を設けるなど、患者優先で機能的かつ斬新なアイディアが100年近く前に採用されていて驚かされる。

19世紀後半から20世紀前半にかけてバルセロナでは経済が大いに発展、財政的支援を受けて市内のあちこちで「モデルニスモ」建築が競い合うという華やかりし頃でもあった。ちょうどガウディがサグラダ・ファミリア聖堂の建設に着手した10年後、そのすぐそばで当時はガウディよりはるかに有名人だったモンタネルが巨大病院を建設していたことになる。

なお、「サン・パウ病院」は1997年に世界遺産登録。2009年老朽化で閉院するまで現役病院として利用されていたが、その後修復もなされ現在は内部を見学できるようになった。



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ガウディ通りを上っていくと正面に「サン・パウ病院」が見えてくる。右側の中央分離帯にはオープンレストランが並んでいる。




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前菜はイベリコハムとジャガイモ(?)の盛り合わせだったか、写真を見ても思い出さない。




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中央にあるのがパスタの海鮮パエージャ(Fideuá)、海鮮のダシが効いていて旨かった。




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いよいよ病院の敷地に入る。




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見学案内の看板、カタルーニャ語、スペイン語、英語の3か国語で表記されている。年中無休だが夏季と冬季、曜日によって若干開場時間が違うようだ。



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サグラダ・ファミリアとは対照的に観光客は少なくひっそりした感じ。




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病院全体の模型があった。14.5haの敷地内に48の建物があったという。


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モデルニスモ建築の傑作とも言われる。ドームの形状が多用されていたり、タイルのモザイクがあったり、イスラム建築の影響を受けているように見える。


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繊細でかつ豪華なイメージが漂う。これが病院?歴史ある有名大学の本館の雰囲気だ。

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各建物間はゆったりとした緑が広がり、小道でつながっている。




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当時の大部屋の病室内部を写した写真か、異様に天井が高い。




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どこかの宮殿のようなゴージャスな建築物でとても病院には見えない。




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見学を終え、タクシーを拾うべく病院前街路に出てきた。病院前は静かな佇まい。





 [サン・パウ病院→グエル公園]

サン・パウ病院を出たが午後はまだ長い。もう一か所、比較的近距離の「グエル公園」(Park Güell)にタクシーで向かうことにした。乗ったタクシーは山手に向い15分ほどでグエル公園の坂の下に着いた。

土曜の午後のせいかやっぱり人出はすごい。公園北東側の入り口から入ると以前はなかった切符売り場があった。もう10年近く前のことだが、当時は何の制約もなく入れたはずだが・・・、後で調べてみたら2013年から有料(入園料は€5.5)になったらしい。
周辺住民から騒音、混雑の苦情が多く、来園客を少しでも減らすためにとられた措置とのこと。

この公園は言うまでもなくガウディの作品(1900~14年に建設)だ。
彼はグエル伯爵の支援を受け都市近郊のこの地で環境に調和した庭園型分譲住宅を計画したものの、当時の立地条件の悪さや想定外の開発規制などの問題をクリアできず、結局、広場など一部の共有施設と2軒の住宅を建設しただけで計画はとん挫、その後市が引取って今の姿になったという。

今回はあえて入場せず、公園の山側を取り巻く遊歩道を散策して南西側の道路に出た。ということで、テラス状広場、その縁に並ぶ破砕タイルでできたベンチを遠目で眺め、広場を支えているドーリア式の列柱群やトカゲの口から水が噴き出ている有名な階段手摺、おとぎ話の絵本から飛び出したような住宅などは見ていない。

それでも青空の下、ガウディが構想した環境調和型田園住宅開発の一端は十分堪能できた。

バロセロナ滞在は今日まで、明日はいよいよ北スペインへ向かう。まずは朝のバスでサラゴサ経由、パンプローナまで。




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バルセロナ市街の後背丘陵地に広がるグエル公園北東側の坂の下でタクシーを降りた。ここを少し上って左に入れば公園だ。




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昔はなかった入場券売り場(右手)辺りの混雑ぶり。




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入場券売り場周辺の路上には小間物を売る露店が沢山。




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似顔絵を描く商売も。




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入場券売り場から遊歩道を少し進むと眼前が開け、正面に公園のテラス状広場、左側にはバロセロナ市街が拡がる。




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テラス状の広場の縁にはガウディ特有の曲線と色調のタイルでできているベンチが110mにわたって続いている。ちょっと見ずらいが広場の突端部分はドーリア式の円柱群で支えられている。




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ガウディ作のベンチに座る人達とその先の市街をズームで。昔は普通の公園と同じようにここに来てベンチに座り、眼下の眺望を楽しむことが出来たのだが今は入場が必要。



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広場と散策路とは柵で仕切られている。画面中央あたりにサグラダ・ファミリアの尖塔が見える。




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歩いてきた散策路を振り返ればこんな風景。




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散策路沿いで立派な体格(?)の女性がカメラに納まっていた。




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南東側の散策路にあった公園の案内板。真ん中にテラス状の広場とそれを支えている86本の列柱群が見える。




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ここから下っていっても入場口に行ける。


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