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7.アンティグア生活つれづれ①(コーヒー農園) [グアテマラ アンティグア]

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コーヒー農園(フィラデルフィア農園)の正門。
門をくぐると山すそまで続く広大な敷地にコーヒー畑は勿論、収穫後のコーヒー豆の精製施設、乾燥場、製品倉庫、テイスティングルーム、売店、レストラン、ホテルまで揃っている。





 [ コーヒー農園 ]

日本人が”グアテマラ”と聞いて何を思い浮かべるだろうか、中米にある"国の名前"というよりも”コーヒーの銘柄”を思う人が多いのではないか、むしろコーヒー以外思いつかないというのが普通かも知れない。

グアテマラコーヒーは甘い香りと芳醇な風味で特に日本人好みの豆として意外に人気があると聞く。                  

人によっては”ティカル(Tikal)遺跡”を挙げるかもしれない。メキシコ国境に近いユカタン半島南部にあるマヤ文明の大規模遺跡なのだが、将来もっと有名になればこの国の”代名詞”になるかも知れない。今はまだそこまではいっていないが・・・。

images[4].jpgティカル(
Tikal)遺跡のⅠ号神殿。




さて前にも少し触れたが、アンティグアはグアテマラの中でもコーヒーの名産地なのである。

それは、1,500m(産地標高1,350m以上が最高級品質と言われる)の標高があって昼夜の寒暖差があること、周辺の火山起源の火山灰質土壌はミネラル分が豊富でコーヒー栽培に適していること、雨期と乾季があって適度の降雨量があることなど、良質なコーヒーが育つための自然条件がそろっているためでまさしく神のおぼし召しだ。

アンティグアの周辺にはコーヒー農園(フィンカ:Finca)がいくつかあるようだが、今回の滞在中に2か所訪ねることができた。

最初に訪れたのは旅行社に申し込んで見学できたフィラデルフィア農園。
キャノピー型(ジープ型)のトラックで市内から送り迎えしてくれて農園では専任のガイドがきっちり案内してくれた。

もう一つは、ラ・アソテア(La Azotea)という総合文化施設。
ある日スペイン語の授業にいくと先生が「今日は天気が良いから課外授業にしましょう。」と言ってセントロから専用のシャトルバスで連れて行ってくれたのがここだ。街の中心から北西に約3kmほど、フィラデルフィア農園とも近い。

内部に
コーヒー博物館や民族音楽博物館などがあり、こじんまりだがしっかりした内容でガイドの説明も丁寧で好印象だった。隣接してコーヒー畑と精製所があり商業生産も行われている。


以下、写真で農園でのコーヒー栽培と精製のプロセスを追ってみよう。


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朝フィラデルフィア農園から迎えにき
てくれたキャノピー型トラック。一緒の見学者もいるのではと思っていたがこの車に乗ったのは我々だけ。


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こちらは総合文化施設「ラ アソテア」を往復している専用の小型シャトルバス。




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ラ アソテア構内のコーヒー精製所入り口。




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右に行けばコーヒー博物館の案内。




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コーヒー博物館では大きなパネルを使って男性ガイドが説明してくれた。まずコーヒーの起源・変遷などを話した後、世界の生産量と品質の説明が続く。彼のスペイン語は歯切れがよくゆっくり話してくれるのでスペイン語学習者には格好だ。


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生産量はブラジル、ベトナム、コロンビアが御三家でグアテマラは8番目で多くないが、品質的にはエチオピア、ケニヤに続いて3番目に品質が高いのだそうだ。(コーヒー博物館)





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ガイドが手に持っているのはプランターに入ったコーヒーの苗木。説明を聞いているのは10人ぐらい、学生風の若い女子や年配のカップルもいた。彼らはどこから来ているのか?スペイン語の説明だから他の中南米から来た人たちか?それともアンティグアでスペイン語を勉強している欧米の学生?。(コーヒー博物館)




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壁面一杯に張られたコーヒー育苗場の写真の前でガイドの熱弁が続く。
コーヒーには香りが良く高品質だが根が弱いといわれる「アラビカ」種と品質はやや落ちるが根が強い「ロブスト」種があるが、ここでは苗木にするときに接ぎ木をして根の強いアラビカ種をつくり出しているという。グアテマラコーヒーは勿論アラビカ種が主流、だから高品質だというわけだ。(コーヒー博物館)




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次の部屋では分かり易いパネルを使って生豆から焙煎されたコーヒーへ姿を変えていく過程を説明していた。当然ながら段階を経るたびに量は減っていき最終の実収率は低くなる。(コーヒー博物館)



 [ コーヒーの実からコーヒーができるまで ]

ところでコーヒーの実は熟してくると緑色から赤い色に変わってくる。ちょうど北国のナナカマドに似ている。
コーヒー豆になるのは種子の部分(正確には胚乳と胚芽を合わせた部分)で、それを取り出すためには覆っている果肉と内果皮を剥かなければならない

人の手で収穫されたコーヒーの実は工場に運ばれ、まず機械で果肉が取り除かれる。続いて内果皮を取り除き易くするため発酵槽と呼ばれる水槽に1~2日漬けられた後入念に乾燥(天日乾燥なら1~2週間、機械の場合は1日)され、さらに脱穀機に似た装置で内果皮が取り除かれてコーヒー豆(生豆:ナママメ)になる。

その後機械で
サイジングされ、豆の色を基準にしたおばちゃんたちの手選を経て最終的に品質等級別の生豆が出来上がる・・・というのが精製の大まかな流れだ。

生豆は英語でGreen Coffee、西語でCafé Oroと呼ばれ、焙煎する前のこの状態で輸出されるのが普通。
高品質の豆は殆どがアメリカや日本など世界の消費地に輸出されてしまいこの国ではまずお目にかかることはないという。

コーヒー豆の流通は、世界の4大流通業者が占めていて生産者の立場は歴史的に極めて弱く収益の取り分も小さいという。これは、国際農産物を巡る先進国(消費国)と新興国(生産国)との間の深刻な経済格差問題(南北問題)の一つと言われているがその解消は遅々として進んでいない。

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農園内の移動はこのキャノピーで。(フィラデルフィア農園で)



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コーヒー育苗場。(フィラデルフィア農園で)




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一部が赤く熟してきたコーヒーの実。摘み取りは近隣の人たちが雇われているのか、外部からの季節労働者なのかはっきりしないが、
完熟した実をひと粒ひと粒手摘みし、幾段階もの精製過程を経てわれわれが口にするコーヒーになるわけだ。この手間のかかり方を知ると味わいも一味違ってくる(?)。(フィラデルフィア農園で)



images[1].jpg日本の北国で見かけるナナカマドの実、見かけはコーヒーの実にそっくり。




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付きっきりで親切に案内してくれたフィラデルフィア農園のガイドさん。名前を失念してしまったが大学では獣医学を勉強したと言っていた。彼の説明を聞き取ろうと必死に集中するが頭が疲れてヘトヘトに。




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コーヒーの実を摘んでいたオジさんたちと立ち話。(フィラデルフィア農園で)



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コーヒー実の摘み取り作業。コーヒーの木自体は2m程度だが日の直射を嫌うために日陰を作る高木(確かユーカリといっていた)が配置されている。(フィラデルフィア農園で)



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園内風景とコーヒー摘みの作業員、女性もいるようだ。(フィラデルフィア農園で)



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精製の手順をパネルを使って説明。(コーヒー博物館で)




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発酵槽を経て洗浄された内果皮付きコーヒー豆が樋を水流で運ばれてくる。この後は乾燥工程。(フィラデルフィア農園で)


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まだ内果皮が取れていないコーヒー豆。(フィラデルフィア農園で)




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天日干し中のコーヒー豆について説明。(ラ アソテアの乾燥場で)



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膨大なコーヒー豆が畝状に並べられている。これを日に何度か人力で撹拌するとなると結構大変な作業だろう。基本的に乾季の作業とは思うが不意の降雨が来たらどうしているのだろうか。聞き漏らしてしまった。(ラ アソテアで)




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フィラデルフィア農園の乾燥場。



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製品倉庫に展示されていたコーヒーの麻袋。CREEN COFFEEとあるが多分生豆の意だろう。その上にYOKOHAMAの文字が見える。横浜港に行くのだろうか?一袋の重量は150LBS(ポンド)で70kg弱。(フィラデルフィア農園で)





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片隅にあった出荷前の最終製品。(フィラデルフィア農園で)





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一部は焙煎して売店でお土産用に小売されている。(フィラデルフィア農園で)



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テイスティングルーム兼コーヒーショップ。(フィラデルフィア農園で)



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最後にテイスティングルームの片隅で当園産コーヒーのサービスがあった。
香り、酸と苦みのバランスはさすがだったが、焙煎が浅い感じの所謂アメリカンコーヒーですっきりしているものの、当方にはやや物足りなかった。まあこの辺りは人の好み次第だから致し方ないところ。グラスの水はテイスティングのときの口すすぎ用だそうだ。


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コーヒーショップそばの芝生の庭。ここではホテルやレストランなども備えていてアグリツーリズムに力を入れている。

 (以下、「8.アンティグア生活つれづれ②」に続く)

 


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